点心

新聞記者の点心のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.0
面白かったというかドキュメンタリーというか…。全然終わってないからなあ。

 実際にあった事件が割と分かるかたちで出てくる。森友・加計学園、官僚の自殺、レイプ事件の不起訴…。羊事件のあたりだけ、フィクションかなあとおもう…のですが…(違うよね??関連したああいう秘密があるなら怖すぎる。でもお友達だからってわざわざ無理やり設置を通す必要はないはずで…ええ…)という感じで、分かるところとその裏で新聞記者や官僚がどう動いていたのかが垣間見えておもしろい。

 現実のニュースでは桜を見る会の名簿とか、質疑応答に応じてる官僚たち(めちゃくちゃ頭がいい人たちのはず)が、どう考えてもきっちり残してる記録のことを管理してませんとか捨てましたとか言わされて、悲しく情けなくならないのかな、と思ってたのですが、映画でも、できる官僚たちが一般女性をハニートラップだのなんだの、野党の陰謀だのなんだのという流言飛語をTwitterに書きまくるという、本当、フィクションであってくれと、あれほど思う描写はない。色々通り越して悲しい気持ちになった。政治の中枢には日本の将来のためになることを、せめてフィクションの中だけでもしていてほしいのに、内閣を守るためだけにあんなばかばかしい行動を税金使って真面目にする必要があるだろうか、いやない…。

 いろんな疑惑(というか、まあ疑惑なら、ただ説明していただければすっきりすることだらけですが…)を些事とする向きもあるけど、あらゆる書類を無視し私物化し改竄する仕事を、なぜ他の仕事ではしないと思えるかのほうが不思議。

 映画では記者と官僚側両方から描かれ、記者は雑然とした中に吉岡の赤いカーディガン、マフラーが鮮やか。対して官僚のいるところはぼんやりした青い空間。異色というか出色の人物として今も矢面に立っているけど、これからも問い続けてほしいし、現実では「新聞記者」ではなく「新聞記者たち」にラストでは消された声を上げ続けてほしい。
点心

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