mayu

新聞記者のmayuのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.6
それぞれ登場人物の「目」がすべてを語ってる気がする。
雄弁なはずの「口」はを押し黙るか、嘘を吐くから。
真実を見ない振りしたり、煙にまくために。
新聞やネットに羅列される文字だって、欺瞞、忖度もしくは勘ぐりってだけで、はたして事実と向き合っているものなのかは当事者にしか分からない眉唾物。
言葉を発しないはずの「目」だけが、はちきれそうな怒り、後悔、悲しみ、恐れ、そして幸せさえも、多弁に伝えてくれる。

大きな組織や強い権力における大義の意味や必要性なんてわからないけれど、出発はいつも誰かの思惑からだったのは間違いない。
AIの導き出した答えだとか、神からのお告げなんて事ではないんだから。
それなのに、いつしかそれは大きなモンスターのように話も通じない得体のしれないものに成長して、個人の意志や尊厳さえも食いつぶしてしまっている。
時に、命さえもだ。
この映画にあるような、誰かを盾にし犠牲にして残るものって何だろうと頭を抱えたくなる。

何かを暴く力。
何かを信じぬく力。
どちらも暴走化する恐れもあって怖いものだなって思うと同時に、同じくらい必要なものだとも感じる。
どちらかだけが優位ならば、それはかりそめの民主主義の証かもしれない。

この映画を怖い怖いとの感想になるのもわかる。
自分が、松坂桃李やシム・ウンギョンのような立場ならどうしているだろう。
ラストがどうしても、こう、考えちゃうね。

この映画のあらすじだけ読んでもわかるとおり、映画内でおこる事件はどれも既視感があるものばかり。最近、週刊誌にて再燃もしたので観てみたが、思った以上に余韻が残りました。
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