ひねくれはちゅう類

新聞記者のひねくれはちゅう類のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.9
あらすじ
この国の民主主義は形だけでいい


上の言葉に「僕は」反論出来ないと思った。憲法15条1項の選挙権は権利であって義務ではない、という解釈を地で行く僕は政治に口出しする権利はない。てか正直全然全く政治に興味ないし。

でも、政治エンターテイメントとしてこの映画はめっちゃ面白いと思った。
対立するのは「社会的正義」と「個人的正義(ようは家族を守るとか)」。

北村薫さんという作家が書く「盤上の敵」という小説が好きで(でも一回しか読んでないけど)、そのなかに「雄々しいとは社会のために行為することで、女々しいとは私的なことのために行為すること」って一節が出てきて、女々しいことは悪じゃないというのがこの小説のテーマなんだけど、それに通ずるものがある。

社会的正義は一見正しく見えるけど、それが絶対じゃあないよ。社会の闇を暴けばそれで何もかも犠牲にしてよいとも思わない。まあこの感想は僕だけかもしれない(見てない人、たぶんこれはそういう映画ではないです)。

ちなみに、「盤上の敵」は、正義(警察)も悪(立て籠り犯)もすべてを敵に回して妻を守ると決めた男の話です。こんな夫になりたかった。