えみ

新聞記者のえみのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.4
国民が政治に無関心だとこういう人達が政治を牛耳るようになるんだよ…この映画が日本アカデミー賞を数々受賞したことは、まだこの国にも救いがあるなと思える希望の光だ。

これは間違いなく事実に基づくフィクションである。どこまで現実なのか、どこから想像なのか、境目が分からない。全部あり得ると思ってしまう。現実はもっと酷いのかもしれない。
ベースは加計学園の獣医学部新設問題×森友学園公文書偽造による赤木さん自殺問題のフィクションアレンジ。
日本の現実はさすがにここまで酷くない?そうだろうか?そう信じたい気持ちはすごくわかる。でも、この映画のストーリーが全部真実だと信じることと同じくらい、ここまで日本の政治は腐ってないはずだと信じることも根拠の無い、いわば盲信であると思う。充分有り得ると推認しうる事情は沢山、一般市民の耳にすら入ってきているのだから。

官僚の赤木さんが公文書偽造させられて死んでしまったことも、森友問題も、加計問題も、デモ隊を公安が撮影して犯罪者扱いすることも、伊藤詩織さんへの安倍友による性暴力が揉み消されたことも、新聞社、マスコミへの圧力も、前川喜平さんが政権に反旗翻したら潰されたことも、全部事実。
官僚やってるキャリア20年の知り合いは、与党に反する意見を言ったら隅に追いやられる世界だって、だからいつ辞めようかずっと悩んでるって言ってた。
十分日本は腐ってる、私たちがこの映画をただのフィクションだと目を逸らしてる限り、どんどん取り戻せないところまで進んでしまうよ。この映画を作ってくれた勇気ある関係者の方々全てに感謝したい。しっかり受け止めたい。
えみ

えみ