東雲

グレイハウンドの東雲のネタバレレビュー・内容・結末

グレイハウンド(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

トム・ハンクスの主演作ってほんとハズレが少ない。個人的に安心して見られる役者TOP3に入るかも。

Apple TVのトライアル登録してたのすっかり忘れてて無料期間中にオリジナル作品は何本か観ておこうと慌てて鑑賞した1本目。

これは映画館で上映してほしかったなぁ...

第二次世界大戦下、駆逐艦グレイハウンドの艦長に就いたクラウスは、兵士と物資を乗せたイギリスへの輸送船団を護衛するアメリカ・カナダ・イギリスの連合国艦隊を率いて大西洋を渡ることに。

戦闘機の上空援護がない海域では、ドイツ軍の潜水艦Uボートが群をなして襲ってくる。
敵の動きが予測できず、武器は弾数が限られてるうえに標準もなかなか合わない極寒の大海原での闘い。
再び上空援護を受けられるまでの50時間、食事も睡眠もとらず、緊迫した状況が続くなかクラウスは心身ともに疲弊していく。

セリフは会話というよりもほとんどが指示・伝達。言葉よりも表情や動きが状況を物語ってた。
そのせいか、かえって艦上の緊迫感がひしひし伝わってきて、セリフを完全に理解してなくてもストーリーは十分理解できる感じ。

昼夜問わず次々と攻撃を受けて、味方の艦を沈められ船員の命を奪われて。それでも敵艦を沈めると、艦と船員を守れたことに安堵すると同時に失われた命を想う、クラウスの人間味ある人物像がよかった。

同じ軍隊で同じ訓練を受けて同じ経験をしても、命を奪うことに対して感覚が麻痺する者と、良心を保ち苦悩しながらも国のため仲間のために戦い続ける者がいる。
命の価値が数値化してしまう戦場で自分を見失わないでいるって、大変なことなんだろうな。

何百・何千人もの兵士の命を預かりながら、迷いを打ち明けられるのは副官だけ。艦長の責任の重圧と孤独感ははかり知れない。
危険な海域を抜けたあとの安堵した表情に涙が出た。

軽くググったら、空母は1942年当時すでにあったみたい。こういう任務には使われてなかったのかな...
コヴェナントを観たときも思ったけど、上空援護の力って凄まじい。
東雲

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