えむえすぷらす

グレイハウンドのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

グレイハウンド(2020年製作の映画)
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原作はナポレオン戦争期の海軍を描いたホーンブロワーシリーズを書いたことで知られるセシル・スコット・フォレスターの「駆逐艦キーリング」。
邦訳は以前からされており今回の映画配信開始を意識して新訳版まで投入された。

原作の要素はなかなかありつけない食事、それでもコーヒーは欲しい(トイレ大丈夫?)、先任館長として率いている英、カナダ、ポーランドの護衛艦艇の艦長や予備役の将官が民間船に将旗を掲げてその任に就いている船団指揮官とのTBSや灯火信号での会話などありますが、変更されたか形式的にしか描いていません。なので原作ファンである筆者は「なんですか、これ?これでキーリングのつもりですか?どうフォレスターに謝るつもりですか、こんな駄作で」と言うしかない。

なお映画を見て「これはそうだろうな」と思ったのは給仕の人種について。米海軍の場合、大型艦だとクリーニング担当の軍属を載せていたりしますが、給仕も兵科外の人が充てられていたようで本作だとアフリカ系の人がやっている。
人種多様性表現は当時の差別的待遇をはっきり見せるか、時代の誤りを正すような意図を込めて変えてしまうかのいずれかになる。本作は前者をとっているのが驚きだったけど、敢えて海軍の当時の問題を見せる事にしたのだと思う(あれがいいと言う描写ではなかった)。