ギレルモ・デルトロのとタイトルに名前が付くのでどんなダークな仕上がりかと思ったら、ディムバートン風味もありながらハートフルかつシビアでファンタジーという相反するテーマを見事に昇華した傑作。
原作やディズニー版は未見だが本作のような戦時中の物語のイメージが無かっただけに驚いた。
ピノッキオという異物が社会にどう受け止められるかという社会実験的な話から始まり観終わってみたら壮大かつ愛の話だった。
ストップモーションアニメ特有の温もりある映像と作風がとてもマッチしていて繊細な目線の芝居からダイナミックなアクションシーンまで堪能出来た。
メイキングも含めて観るとより大変さと凄さが伝わるのどちらも鑑賞がオススメ。
声優陣もめちゃくちゃ豪華でデルトロならではの人脈のキャスティングが見事にハマってた。
歌のパートも自然で違和感なく場面に溶け込んでいてピノッキオの綺麗なソプラノが素晴らしい。途中の戦意高揚歌を歌わされる怖さやクリケットやサーカスのヴォルペ伯爵の歌など聞きどころ多数。
何度も蘇生するアイデアも秀逸。
息子の死から始まり最後も死で締めくくるデルトロならではの死を描く事で生が際立つ発想は良かった。
それとピノッキオは人間にならず人形のままというのも良い。ピノッキオは何年経とうが子供のままそのままでゼペットをはじめ、クリケットやサルのスパッツアトゥーラ達が変化していくのも今風で面白い。
企画から制作頓挫を乗り越えて発表されて本当に良かったと思える作品。