小さじ

ギレルモ・デル・トロのピノッキオの小さじのレビュー・感想・評価

3.8
デルトロ流に、命について教えてくれる作品。集合体が苦手な人は少しだけ注意。

ゼペットの過去が面白い。単純に人形作りが趣味のおじいさんでなく、愛する息子を戦争で失い悲しみ狂った果てに作り出した完全ではない人形だということ。
冒頭の回想シーンで脚の無い犬や足首までしかない銅像など、完璧をこだわるゼペット以外で不完全な物が散見した。対比シーンがあるわけではなく、この世は不完全でも回るというメッセージかな。
作るところは怖かったし出来上がったピノキオは可愛い造形に一切寄せようとしない見た目で…話すと可愛いしだんだん愛着は湧くんだけど「これがデルトロかぁ」と思うシーンの一つ。

精霊二人の見た目がとても好き!死の精霊はハリポタに出たスフィンクスっぽい。生のほうは何がモチーフなんだろう。

完璧なキリスト像を作ろうとして息子を亡くし、ピノキオは十字架にかけられて処刑されかける。こういう対比、好き。

命を貰ってから当たり前のように時が過ぎて次々亡くなり、ひとりぼっちのピノッキオ。それを受け入れてずっと笑顔なところで切ないとほっこりが同時に押し寄せてくる。死ぬ体になっても寿命って概念が無いなら、うっかり怪我でもして死んじゃうのかな。

ジミニークリケットがずっと痛めつけられてて、影も薄いのなんで?スパッツァトゥーラとキャンドルウィックのほうがいい仕事してたよ!
小さじ

小さじ