ピロシキ

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのピロシキのレビュー・感想・評価

4.3
舞台裏ドキュメンタリーもみた。ほんとうに、クリエイターには足向けて寝れない。完成まで15年を費やした、リアリティへの半端ないこだわりによって生まれた映像は、たしかに劇場で観られるべきだろう。

そしてその映像のなかに、監督が過去作でも伝えてきたメッセージが詰め込まれていた。この世の「試練」を経験して強さを手に入れる主人公の姿は『パンズ・ラビリンス』の少女に重なるし、人形だろうが人間だろうが構わない形を超える愛情は『シェイプ・オブ・ウォーター』でも語られた通り。誰もが知るピノキオに独自の解釈が加わって、まさに文字通り『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』として成立していた。最初と最後で息子を2度抱くゼペットさんの姿に、2度泣いた。

監督の手腕と人望によって集まったキャストたちは、オスカー像だけでも5本分の実力者揃いだ。この世のものではない存在をティルダ・スウィントンが演じるのは大正解だが、猿まで完璧に演じられるケイト・ブランシェット、逆に何の役ならできないのか問いたい
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