toshi

行き止まりの世界に生まれてのtoshiのレビュー・感想・評価

5.0
「スケボー仲間が家族だった、家族のように自分を気にかけてくれる仲間がいなかったからだ」
冒頭のこの言葉が映画を見終わった後も心に残ってる。

イリノイ州ロックフォードに暮らす3人それぞれの生活を12年親友の目線から撮影したドキュメンタリー映画
本当に監督の人生を通して出会った友達とその家族なので、この監督にしか作れない本当の生活と人間関係中での葛藤や人生を実録している。

「全米で最も惨めな町」とされるイリノイ州ロックフォードは、人工の大半が時給15ドル未満、企業撤退による人工流出が相次ぎ、住んでいる人々はお世辞にも裕福とは言えないような街。
メインの登場人物3人やそのまわりの家族の目線それぞれの「家族」「友達」「格差」「暴力」「差別」「孤独」「出産」「妥協」が率直に伝わってきすぎてやりどころのない気持ちになる。

映画を見ながら自分にも大学生の時同じ色合いのスケボー映画「ロード・オブ・ドッグタウン」を見たのがきっかけで、スケボーをめちゃくちゃ練習してた時期があって、あの時はあの時で何も前に進まない日々をなんとか自分の中で前進させようと葛藤してたなあとか。小学生の頃家にいるのが嫌でよく外にランニングに行ってたなあとか思い出したりした。

誰もが「いなきゃいけない場所」に「いたくない」経験があったと思うけど
その時にどう感じて自分は何をして乗り越えててそれが今の自分にどう影響しているのかにちゃんと向き合える人は少ないと思う
そういった意味でもこの映画を作った監督を讃えたいし語り継がれるべき作品だと思う。

生きる意味なんてないからその場その場で自分のために誰かのために生きるしかないけど、自分の中の葛藤やどうしてもついてくる人間関係といつどう区切りをつけるかは、自分で考えて自分で決めて整理して向き合い続けなきゃいけない。定期的に考えることだけど、改めてこの映画を通して向き合えてよかった。
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