備忘録さん

行き止まりの世界に生まれての備忘録さんのレビュー・感想・評価

3.9
絶望的などん詰まりの街で、スケボー仲間3人が、10代前半の線の細い時期から20代前半で大人にならざるを得ないタイミングまでを追いかけたドキュメンタリー。

昔から仲間をずっと撮影してた、スケボー仲間の一人がプロの映像作家になっているので、被写体との関係性も良好で、監督の人柄か距離感も絶妙。過去の撮影素材も多く、映像的にも強く良質なドキュメンタリー。

(ちょっと中盤ダレるが短いので集中力は持つ)

絶望的な環境で、それぞれの荒んだ家庭で父親からふるわれた家庭内暴力などが産んだ心の傷。ガタガタの家族でカバーできない愛情をスケボーとそのコミュニティーで埋め、愛を壊しながらも愛を信じて愛を求め続ける登場人物たち。(そんなにネガティブなトーンの描写ではない)

なんかへんなスイッチが入ってしまい初っ端のスケートボードのシーンから泣きながら見ていた。

貧困と教育からの疎外が、確実に負の連鎖を生んでいるよなあ。懊悩してる若者を見ると、アメリカの話なのだが、おっさんたちが何もせんかったからごめんなと思ってしまう。

偏差値50の壁みたいのがあって、この壁の片方から向こう側はお互いの生活がすごい見えにくくなっているのだが、こういう映画は反対側の世界をクリアに見せてくれる。

こんな映画をわざわざ見てる人は、ある程度経済的にも教育的にも恵まれた人たちが多いはずなので、この、もう一つの見えにくい隣の世界に思いを馳せることはとても大事だと改めて感じる。

自分の住んでる街ぐらいはこういう子達に、早めのフォローの手を差し伸べいつでも再挑戦のできる環境を作っていきたい。