yaeko

行き止まりの世界に生まれてのyaekoのレビュー・感想・評価

3.7

“大人になるには何か欠けてる”

映画はあくまでフィクションだから、こういうドキュメントってあまりにも飾り気がなくリアルで、身近で、だからこそ胸に迫る感情から逃げることなんてできなかった。
彼らが語る過去は間違いなく体験されたもので、ヒリヒリする程にノンフィクションだった。

冒頭、街中をスケボーで颯爽と駆ける彼らは、気持ち良さそうで、自由に見えたから、「全米で最も惨めな都市」なんていう形容があまりピンと来なかったんだけど、
ちょっと調べてみたら、ロックフォードという町は相当、シリアスなランキングの上位にあって、
そして彼らの語る言葉は過酷で、重くて、
だからやっぱりそんな環境であることは確かなのだと理解せざるを得なかった。

彼らにとってのスケボーは、居場所で、家族で、そして抜け出すための手段で、
わたしが知っているそれとはかなり姿が違った。

何度転び、打ちのめされてきたのだろう。
何度葛藤し、混乱し、複雑な思いを抱えてきたのだろう。
それでも、笑顔を見せてくれる彼らにわたしは逆に泣いてしまったけど、生きることの困難さとその反対も、教えてもらったと思う。
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