YoshiyaTsuboi

行き止まりの世界に生まれてのYoshiyaTsuboiのレビュー・感想・評価

4.4
『mid90s』がハマれたので、その流れでスケボー映画をもっと観たくて。ミッドナインティーズはA24製作ならではの優しさ、さっぱり感がうまい方向に転んだ嫌みのない西海岸カルチャーふんだんなお洒落な作品だった。

そして『行き止まりの~』の舞台はラストベルト、イリノイ州ロックフォード。錆びついた工業地帯の小さな街で出逢った、白人、黒人、アジア系の三人の若者たちが歩んだ12年間を撮ったドキュメンタリー。

冒頭、彼らがスケボーで公道を颯爽と滑走する美しい映像に一気に引き込まれる。そして三人がどんな風に出逢ったのか、どんな関係性なのか、さらにそれぞれがどんな家庭で育ってきたのかがじっくりと語られていく。

彼らが家庭内で経験したさまざまなヘビーな記憶。そんな日々の中、多感な時期にスケボーを介して出逢った彼らが互いの存在を欲っし、そこで築かれた新たなファミリーの物語をカメラは追っかけていく。

上映時間93分というコンパクトな時間だけど、見終わってからの体感度数はその1.5倍ぐらい感じる濃密な作品だった。何を語ってもネタバレ的になるので『mid90s』よりスケボー映像が気持ちよくて、それが彼らが歩む日常生活の苦々しさとのコントラストが効いて、とにかく美しかったことはお伝えしたい。思わず自分のアルバムを遡り、人生で最もスケボーに近づけた若き日のことを振り返った。
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