kanaco

世にも怪奇な物語のkanacoのレビュー・感想・評価

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)
3.5
エドガー・アラン・ポーの小説を3人の監督が1つずつ実写化した3つの幻想怪奇譚オムニバス。恐怖物語なるも演出として“怖い”はなく “不思議な”とか“妙な”というテイストが強い世にも“怪奇”な物語。監督たちが得意とするところか芸術・美術的な幻想演出が光ります。小説も読みたくなっちゃう🧐(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

GWに入ってちょっと余裕ができたので映画LIFE復活~😀✨5月以降も引き続きのんびりスタイルになるかと思いますが再開していきます~。よろしくお願いいたします。

◆あらすじ◆
アメリカの小説家エドガー・アラン・ポーの作品のうち3つを取り上げオムニバス形式にてまとめた幻想怪奇な作品集。冷酷な令嬢の奇妙な恋の行方を描く 『黒馬の哭く館』、残忍な男が自分と同名かつ容姿も瓜二つの男に翻弄されていく『影を殺した男』、アルコール中毒の映画スターがフェラーリで暴走し、ある顛末を迎える『悪魔の首飾り』。

❶エドガー・アラン・ポー原作を実写化した3つの幻想怪奇譚オムニバス

ゴシック・恐怖小説や世界初の推理小説などで知られるアメリカの小説家エドガー・アラン・ポー。私は「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「ウィリアム・ウィルソン」は読んだ記憶📖、「赤死病の仮面」は映画を見た記憶🎥!

本作は原作がエドガー・アラン・ポーの小説によるもの。ポーの作品の中から3つを3人の監督が実写映画化。3部構成からなるオムニバス形式の怪奇譚となっています。ストーリーテラー的なものもなく3つの作品が独立してシンプルに並んでいます(一応冒頭にポーの紹介は入るけど)。

ジャンルがホラーとなっていますが、ホラーというよりは幻想怪奇譚。さらに受けた印象では「世にも“怪奇”な物語」というタイトルなるも「世にも“奇妙”な物語」というタイトルの方が合う気がします(某日本のオムニバスドラマと関連があるのですかね)。恐怖物語ではありますが演出として“怖い”はなくて、あくまで“不思議な”とか“妙な”というテイストが強い〈恐怖の正体〉はハッキリと掴めぬ、ふんわりとしたタイプです。

❷第1話 「黒馬の哭く館」(40分程度)
ロジェ・ヴァディム監督×ジェーン・フォンダ 

【物語】22才という若さで10つもの城を持つほどの大地主になった娘フレデリカ。伯爵家の美しい令嬢ではありますが残虐な性格で、周りの人たちは保身から彼女の気まぐれに付き合っていました。そんな彼女の言うことを唯一聞かないのは、仲が悪い親戚の息子であるウィリアム。フレデリカはこのウィリアムに一目惚れして誘惑しますが、フレデリカの日頃の行いを軽蔑しているウィリアムは相手にしません。気を悪くしたフレデリカは彼の気を引きくために馬小屋を放火。馬を守ろうとしたウィリアムは馬と共に焼死してしまいます。ショックを受けるフレデリカの元に謎の一頭の黒馬が現れ…。

残酷な伯爵令嬢の恋の行方と、彼女の前に現れた馬との奇妙な関係を描きます。怖い御伽噺のような幻想系。ぼんやりとした不思議なお話である3作品の中で一番ぼんやりだし、展開が唐突です。映像で見るとかなり間延びしているように感じて“かったるさ”があったので、もっと短くまとめて欲しかったかも…。文章(小説)だったらまた違う印象を受けるのかな~と思いました。

ストーリーはそんな感じでしたが映像としては煌びやかだったり幻想的だったり。特に主人公の衣装が印象的で、服としてどういう機能なのか意味不明な、奇抜で露出多めのファッション。セクシーでラグジュアリーです。そんなフレデリカの衣装はかなり豊富。それらを着こなすジェーン・フォンダさんがお美しい!ジェーン・フォンダさんを堪能するには良い映画かもしれません🥰私はお腹の露出が気になって「お腹冷やしちゃいそう…」という、どうでもいい心配をしましたが…😂

また、所々に色々な動物を印象的に映すのも目に止まりました。どういうわけかチーターを飼っていて、このチーターくんが何をするわけでもないのですが特に可愛かったです。チーターは子供の頃もキュートですが大人になってもキュートofキュート💕

❸ 第2話「影を殺した男」(35分程度)
監督ルイ・マル×アラン・ドロン&ブリジット・バルドー

【物語】必死な形相をした男が告白をしたいと教会の告解室に駆け込んできます。男の名前はウィリアム・ウィルソン。彼は神父に「自分は人を殺してしまった」と告白。そしてその経緯について子供時代まで遡って回想をはじめます。寄宿学校に通うウィリアム・ウィルソン少年は狡猾かつ残忍な性格。取り巻きを従えて気に入らないクラスメイトを縛り上げ水に沈めていたところに同姓同名の少年が現れウィリアムを邪魔します。その後、ウィリアムが残酷な悪事を働くたびに、もう一人のウィリアムが突如現れて妨害をしてきて…。

3作品の中で私が唯一原作を読んでいたお話。小説の時のタイトルは『ウィリアム・ウィルソン』でしたが…。3作品の中で最も内容の理解がしやすく『黒馬の哭く館』で「😀❓ドウイウコトナノ…❓」となっていたこともあり、このストーリーの分かりやすさや展開が読める難易度が逆にスカッとでした。残忍なサイコパスである男ウィリアム・ウィルソンが非人道的で取り返しのつかないことをしようとすると必ず現れる、同じ名前と同じ容姿をした男ウィリアム・ウィルソン。謎に満ちていてかつ分かりやすいので、興味が最後まで引っ張られます。 

アラン・ドロンという俳優さん、名前だけは聞いたことがあってお姿は初めて拝見しましたが、今作ではサディスティックで横暴に振る舞う役でした。男には人気らしく男の取り巻きをいつも引き連れて、自分より弱い者や女性をターゲットにし卑怯な手を使って取り巻きと共に囲って苛めて優越に浸るタイプ…。嫌な奴😑!!そんなウィリアム・ウィルソンに狙われた美しき女優ブリジット・バルドーさん…目力がスゴイし凛々しくて素敵!

でも「往復ビンタ」じゃ足りなーい!!!!
「往復はかいこうせん」くらいして欲しかった😡!!!!!(なんぞ)

❹第3話 「悪魔の首飾り」(45分程度)
フェデリコ・フェリーニ監督×テレンス・スタンプ 

【物語】映画俳優のダミットは一時スターとして名声と賞賛を得ていましたが、今はアルコール中毒者になっておりすっかり落ちぶれていました。そんな彼にイタリアから新車のフェラーリを報酬とする映画出演の話が舞い込んできます。引き受けてイタリアに向かったダミットはオスカーの授賞式にも参加しますが逃げ出し、用意されていたフェラーリで走り出します。そうして猛スピードで夜のイタリアを爆走しますが…。

アルコール依存症の落ちぶれた映画スターがフェラーリに乗って憑りつかれたように大暴走するお話。正直「これって本当にエドガー・アラン・ポー作品??」と疑問に思ってしまうくらい、それっぽくない印象を受けました(まぁ、前述の通りあんまり読んだことはなのですけど…)。それぞれの監督作品はすべてお初だったのですが、他の2編も監督の色が出ているのかなと感じましたが、おそらくこれが一番監督の色バリバリだったのかも…と思ってしまうほど奇抜でした。そして怪奇という意味では一番怪奇だったかもしれません🤔

視覚的に奇妙、冒頭の空港のシーンだけで独特。そしてとてもオシャレです。映像は一貫して芸術・美術的。幻想感がこれも強いです。後半からやっと問題のフェラーリに乗るのですが、凄い音を立ててハンドルを切っている主人公が見ている視点を映すカメラワークはまるでアトラクションのよう!ゴーカートのようにガタガタ揺れて異常事態。とにかく映像に突出しているような作品でした。

そして白い少女の一見普通なのに明らかに異常さ滲み出る笑顔が絶妙。可愛いけど怖い😱💕

🐎👨👨🚗>📖🐝「エドガー・アラン・ポーの小説をまた読みたくなっちゃうような映画でした!」
kanaco

kanaco