TAK44マグナム

クロース: 孤独のボディーガードのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.9
諦めない、必ず護る。


ノオミ・ラパスがプロのボディガードを演じるNETFLIXオリジナル映画。
実在する女性ボディガードの手記を元にキャラクター造形された主人公サムが、莫大な財産を継いだイマドキ女子を護衛するストーリーです。


巨大企業の株を受け継いだゾーイの護衛として、凄腕の女性ボディガードがやってくる。
彼女の名はサム。
モロッコにある、鉄壁なガードシステムを誇る別荘にゾーイを送り届けた時点で仕事は終了のはずであった。
しかし、そこへ謎の武装集団が強襲、サム以外の護衛は全て殺されてしまう。
電子システムがハッキングされ全く役に立たない中、サムは辛くもゾーイを連れて脱出に成功するが・・・


若い頃のブリトニー・スピアーズみたいな顔したワガママで自由奔放なお嬢様を(何と言ってもサムの前任が解雇された理由がセフレになってしまったからですって!不潔!)、目力もバッチリとストロンゲストなノオミ・ラパスが傷だらけになりながらも守り続ける94分。

うーん、結論からいうと少し残念な出来でしたね。
色々と惜しい。
サムの過去とかゾーイの境遇があまり有機的に絡んでいない気がしました。
ここが巧く機能できていれば、サムとゾーイの感情的なやりとりでもっとエモれたと思うんですよね。
でも、グッとこなかった。
最後まで観ても、ただたんに事件が解決して良かったね、でしかないのが寂しい。

真相やら何やらが分かりにくいのも難があるシナリオで、どうにもとっちらかっているのをもう少し整理して欲しかったです。
一応、(どんでん返しって程でもない)サプライズな展開も用意されているのですが、その肝心な部分がゴチャゴチャしていて分かり辛いままクロージングに向かってしまうのはダメでしょう。
しかも、主人公の活躍が圧倒的に足りないまんま終わってしまうのはどうした事か(汗)
緊迫感を演出したいのは分かりますが、監視システムの制御でアタフタしているサムは要らんでしょう、この場合・・・
というわけで、クライマックスが一番盛り上がらないんですよね。
なにしろ敵が弱く、「お前、誰?」ぐらいに印象が薄いのが宜しくない。
それに加えて、もう最後なのだから登場人物それぞれの思惑が充分こちらに伝わってこないと、「だから何?」状態になってしまいますよ。
結果、全く高揚を感じられずじまいで、満足感が大幅にスポイルされてしまいました。
もっと単純な話にして、サムとゾーイの関係にスポットをあて続けるべきだったのでは?
核とするべきポイントが脆弱でしたね。

良かったのは冒頭ですか。
こういう映画の常套手段として、まず最初に主人公の能力の高さを見せるってのがありますが、中東らしき場所でゲリラから護衛対象を命がけで守るサムの強さを描くファーストシークエンスは掴みとして正解でした。
しかし、そのまま緩やかにテンションが下がっていってしまうのが本作の弱さであり、それがそのままキャラクターの弱さにもつながってしまったのが残念賞。
ノオミ・ラパスは、スパルタンなボディガード役をかなりストイックに演じていますが、その折角の役作りを空回りさせた戦犯は何なのでしょうかね。

せめて、ラストの締めで何とかエモらせて欲しかったのにスルッとエンドロールに突入してしまったのは痛恨のミス。
これでは後に何も残らない。
ノオミ・ラパスの頑張りに多少の加点です。


NETFLIXにて