悪魔の毒々クチビル

レプリコーン・オリジンズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

レプリコーン・オリジンズ(2014年製作の映画)
2.8
「グルォォァ!!(金を寄越せ!!)」

アイルランドの小さな村を訪れた若者グループがレプリコーンに襲われるお話。


実はスティーブン・コスタンスキ監督が1の正統続編を作る前に存在していたリブート版。
今作ではタイトルがタイトルなだけあって、舞台も伝承が生まれたアイルランドに変更されており、これまでのシリーズとは一線を画す内容に。
まぁウォリック版観終えた時点で完走した感じは自分の中であったんだけど、一応シリーズファンとしては観ておこうかと。


………
改悪!改悪!!改悪ぅ!!!!

え、何これ本当にレプリコーン?
と思わずにはいられない内容にクソガッカリしました。
見た目は完全にグールっていうか「ディセント」の地底人っぽいです。しかも喋れない。唸るだけ。
ついでに魔法も使えないので素手で獲物を引き裂く何の個性もない怪物化していました。
「レプリコーン」で検索すると大体あの帽子被ったおっさん風の愉快な妖精かウォリック版のレプリコーンばっか出てくるんだけど、こんなルックスだった説もあったのだろうか。
一応金に執着していている設定は残っていますが、四つ葉のクローバーや鉄と言った従来の弱点は全カット。当然ながら靴になんか一ミリも関心がないです。
中の人はレスラーのホーンズワグルですが、ウォリック・デイヴィスやリンデン・ポルコのレプリコーンと違って演者の個性を全く活かせない造りなので、彼である必要性も薄めでした。

レプリコーン自体、中盤からチラホラ映りますがちゃんと姿を表すのは後半の方だし、それでもブレまくりカメラワークが多めで意外と分かり辛いです。
実はここの村人がかつてレプリコーンの金貨を奪い私腹を肥やしたせいで怒りを買ったので、ちょいちょい来る旅人なんかを生け贄にして勘弁して貰っている事が判明するんだけどここもイマイチと言うか。
その金貨は売り飛ばしたのか知らんけど出てこないし、レプリコーンも生け贄にされた人が所持している金製品だけ取って取り敢えず満足みたいなね。
何がなんでも金貨を取り返しに追ってくるのがレプリコーンちゃうんかいと。何で余計な行動制限まで設けて台無しにしてんねんと。

唯一ゴア描写だけは本家よりも破壊力はあって、脊椎引っこ抜いたり斧で顔面割られたりとそこは良かったけどそれでもちゃんと映さず誤魔化すパートもあったのはマイナスでした。
あとレプリコーンも金製の舌ピアスを奪う時には、舌ごと引き抜くかと思いきや器用にピアスだけ奪う謎の繊細さとか要らん。

メインキャラは運悪く生け贄に選ばれた二組のカップルで、チャラいカップルの彼女はドラマシリーズ「マニフェスト」の主演メリッサ・ロックスボロー。チャラ彼には地味に出演作の多いブレンダン・フレッチャー。適当男なのに一番ガッツのある人でした。
主人公の彼氏も途中で恋人を見捨てるフラグが建つものの、「ここは俺に任せて先に行け」タイプの最期があって見せ場があれど肝心の主人公は間違えて友達を殺しちゃったりとあんま良い所なかったです。
生け贄を用意する村人親子も良心が残っていた息子が助けてくれる場面があったりもしますが、イマイチ盛り上がらず。
序盤のトラックの運転手は一瞬1のオジーのオマージュキャラかと思いましたが、そんなこともなかったです。

まぁヌルヌルCGで襲ってくるタイプでは無いですし、「レプリコーン」シリーズ観ない状態で観ればもう少しマシな印象だったかもしれませんが、レプリコーンという個性を敢えて殺し妖精スラッシャーな作風から只の地味なモンパニ路線へと変更する必要は絶対無かったと思うんだ。
海外版の「レプリコーン」シリーズ7枚入りBlu-rayセットには、ウォリック版6作と何故か今作も一括りにされていますが明らかに浮いてるでしょ。

あと作品の出来とは関係ないんですが、字幕がおかしかったり「どうするればいい」みたいなシンプル誤字があったのも何か適当だなぁと思いました。