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スウィング・キッズのhynonのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
3.9
国、人種、思想…
そんなもの置いといて、みんなで踊ろうよ、、
というバカみたいな感想しか出てこない。

どうして人間は、世の中は、そんなふうにシンプルにいかないのだろう。
バカでも頭がお花畑でも、殺し合うよりはマシじゃないか。

「誰もが平和を願ってる」なんてのは幻想で、好き好んで戦争する人間がいるのが現実だし、この世から分断や争いがなくなることは決してない。

だからこそ、国、文化、人種、言葉など、あらゆる壁を越えて人の心を動かし、通じ合わせ、人をつなぐダンスや音楽の力はもう、奇跡にも思える。

ダンスが好きだ。
かっこいいから。美しいから。ダンサーの技術や表現力に魅了されるから。楽しいから。本能的に踊りたいと思うから。
だけじゃない。
あらゆる境界を越えてしまう圧倒的な芸術の力と、希望を感じるから。

政治的に対立する国々の人たち、接点もなく疎遠な国々の人たちが、ダンスを通じてつながるのを、いままでたくさん見てきた。

素晴らしいものをただ素晴らしいと思う気持ち、ダンスが好きでたまらない気持ちは皆同じだと、実感してきた。

だからこそ、フィクションである映画の中ならなおさら、ダンスがもたらす魔法と奇跡をもっと見たかった。

この映画を観終わって感じるのは、ダンスの楽しさよりも戦争の悲惨さと虚しさ。

ダンス映画は楽しい方がいい。
そしてやっぱり戦争映画は苦手だと思った。
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