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スウィング・キッズのmizukiのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.5
戦争なんてみんな望んでいない。やっていいわけがない。
1ヶ月ほど前、日本に住む20代のロシア人男性と飲み屋で話す機会があった。快く祖国の状況を教えてくれる中で、彼はそう言っていました。「自分の国が一番大事なのは当たり前だから、攻撃することに納得している人も多いのでは?それ自体はしょうがないと思っているんだけど。」という質問に対する答えでした。彼は、祖国の成人男性は望んでもいないのに徴兵される可能性があるから鬱々としていると言っていました。祖国に居たくないから、4, 5年前に日本に逃げてきたと。
この映画でも、国籍で敵が味方かは分けられているけど、戦争をやめたいという気持ちは共通しているように見える。

登場人物たちにとってはダンスが安らぎでコミュニケーション法の一つで、誰にも奪われない自由。リズム源は潤沢にはない。でも、頭の中で音が鳴る。それに合わせて体が勝手に動く。心理学者によるアウシュヴィッツ収容所の体験記、『夜と霧』にも、「人は強制収容所に人間をぶちこんですべてを奪うことができるが、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない」という文があり、通づるなあと思った。

クソなイデオロギーをもった奴と馬鹿が戦争に拍車をかける。しょうがないことなのもわかる。もう、洗脳の境地だから。信じやすい無垢な人ほど陥りやすい。無垢で無邪気って、残酷なんだよなあ。人を傷つける時、傷つけたな、心が痛いな、と思わないで傷つけることができてしまう。無邪気さは、希望を持つためには必要。しかし、やはり自分の頭で考えて何が悪くて何が良いと、自分の責任で判断できるようにならなくてはならない。「偉い人が言ったから」、「信用しているあの人が言ったから」従うなんて、あなたの決断じゃない。自分の中で筋が通せた時、初めて偉い人・信用している人に従えばいい。この世の戦争が、命をなくさないものだけになることを願ってる。

本番でミスる描写入れたのほんと天才…そう、表現は器用な人のためだけにあるものじゃない。好きな人のためにある。
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