Keiseihhh

天気の子のKeiseihhhのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.7
「君の名は。」よりも先にこちらをレビューする。まず最初に抑えておくべきポイントは、誰もが感じたであろう違和感についてだ。ラスト、あれで良かったのだろうか。主人公2人は結ばれることを選ぶ。しかしそれは人々の犠牲に成り立った上でだ。これで良かったのだろうか。重ね重ね。少し過去作を引き合いに出すと「ローマの休日」。あの作品は、オードリー・ヘップバーン演じるヒロインが自らを律して、恋を選ばないことで不朽の名作に辿り着いた。言わば人柱になることで人々の共感を得たのである。対してこの作品は私情、個人的な感情を優先することで、過剰にドラマティックに、そして感興を引き起こすことに成功しているが、やはり2人の恋愛、結ばれたいという気持ちに若干ついていけない一部の鑑賞者は取り残された気分になるだろう。ちなみにこのラストへ向けて主人公2人に感情移入させるテイストや要素、スパイスは充分にまた適所に盛り込まれていることには言及すべきだろう。再度言い及ぶがこのラストで良かったのだろうか。ヒロインがもし人柱になることを選び、人々のために自分を犠牲にしたのならばこの作品はより高度で、完成度の高いヒロイックな名作たり得ただろう。しかしこれも新海誠監督が選んだ道。間違っていないと言えば間違っていないかもしれない。今後新海誠氏がどのような方向に舵取りするか興味をそそられる作品でもある。よってポイントは良作の平均点である3.7である。
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