ギズモX

天気の子のギズモXのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.6
「国外では日本の災害レスキュー隊が必死の作業を続けています」
「キタモト市を襲った津波の原因は、専門家によると月の異常な動きが関係あるようです」
映画『ブルースオールマイティ』のワンシーン

オリパラが終わったらこの作品をレビューしようと強く決心していた。
凄く悩んだ映画だ。
『君の名は。』より遥かに好きだけど。
この映画のことを考えると、その度にいいねとうーんがせめぎ合ってしまい、頭の中がこんがらがってしまう。

(何で物語に銃がでてきて、帆高はそれを拾ったりなんかしたんだ?)
(大人も子供に冷たすぎじゃね?)
(何で曲の歌詞がこんなにも悲壮感漂ってんだよ!)
この三点が凄く苦手で、
帆高が最後のほうで須賀や警察に銃構えながら「行かせてくれよ!」って叫んでいたけど、
(そんな連中はほっといて、さっさと早く屋上に行けよ!)
(何で陽菜さんから人柱の話聞いた時点で鳥居に直行しなかったんだよ!)
って思っちゃうんだよな、いつも。
あいつらをケチョンケチョンに笑い飛ばすものが欲しかった。銃ではなく。
例えて言うなら『E.T.』とか『ブルースブラザーズ』『バニシングINTURBO』みたいなやつ。
あと、みんな泣きすぎ!もう見てらんない!

いや、ただね、神様に逆らい世界を犠牲にしてまで好きになった女の子を救った的な、そんな自分勝手なストーリーじゃないと思うんすよ。この物語。
あのまま晴れだったら、とんでもないことが起こってたんじゃないかとすら考えてる。
日照りが続きすぎてみんな暑さでバッタンバッタン倒れたとかさ。
僕にとってはこれ、《不幸な登場人物が神様の力を得てしまって人々の願いを叶えた結果、世界を大混乱させちゃう物語》の『ブルースオールマイティ』や『ワンダーウーマン1984』に似た話なんですよ。

それに、あの二人は世界を変えてない。
これから世界を変えていくんじゃないのか?
あの騒動で知り合えた他の人達と一緒に。
下でも、上でもなく、前を向いて、立ちはだかる困難に立ち向かい、愛し愛されて、他人や自分自身を認めていきながら。
だから、もう大丈夫さ。きっと。
だって、あの二人は『ブルースオールマイティ』のブルースのように、世界を変えた以上の"奇跡"を起こしたんだから。

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「力を使ってスープを分けたのは奇跡じゃない、ただの手品だ」
「シングルマザーが二つの仕事を掛け持ちしながら子供と遊ぶ時間を作る、これが奇跡だ」
「十代の若者がドラッグをやめて勉強に励む、これが奇跡だよ」
「何もかも神の力に頼る者は、自分の中にあるパワーに気づいていないんだ」
「奇跡が見たいのなら、自分で起こせ!」

「その願いは最高だ、君が『ミスアメリカ』ならな」
「素直になれ、本当の望みは?」
「それが"祈り"だ」
「最高だよ」
「願いを叶えよう、戻れ!」

「どんなに汚れてしまっても必ず綺麗にできる」

"奇跡を起こすのはあなた"

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世界に降り注いだのは間違いなく悲劇だ。
だからこそ、これからは愛で満たされてほしいし、その愛で世界を満たしてほしい。
未来がお先真っ暗闇だとしても、生きているのであれば、ほんのちょっとでも良くすることはできるはずだと、僕はそう信じてる。

荒野に生まれたのは確かだ。
でも無目的じゃない。

僕が君達にできることはまだあるかい
ギズモX

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