アメリカでは「ジョーカー」、韓国では「パラサイト」、日本では「天気の子」が、偶然にも同じ時期に格差社会を描いた映画として全国で公開された。
「天気の子」は平たく言えば、「ジョーカー」に恋愛とファンタジーを入れたことで、史上最高の爽快感を生んだ映画だ。
○テーマ=自己優先
自分のために願う(好きな人、自由、助け合い、自分らしく、オリジナル)
⇄
世界のために願う(天気、社会ー資本主義/階級社会/弱肉強食、常識、世間体、お金、大人)
自己優先⇔他者優先
○構成
・社会より自分たちを選ぶ
・最近のコドモはかわいそう
→違う! 僕たちは、大丈夫だ!
○オトナとコドモの距離
オトナ
→須賀「大人になれよ」、夏美「就活だるい」「JKいいな〜」
コドモ
→帆高「このままでいさせてください」、陽菜「早く大人になりたい」
オトナとコドモの波長の違い
波長を違う人を見ると、受けつけない
→帆高の言動の、キモさ、ウザさ、目につく
須賀の「大人になれよ」の意味
→常識、ルール、道徳に沿った行動/周りに迷惑をかけない/長いものに巻かれろ/選択肢の中から選べ/事なかれ主義(何もしない方が得)/正しいかどうかよりまわりに合わせろ
陽菜はオトナになるしかなかった
理由
1、母が死んだことで、大人にならざる得ない状況
2、年齢を誤魔化す
3、夏美に対して、早く大人になりたい発言
○逃避
帆高:田舎から、虐待から→オトナの社会で逃げ回る
夏美:就活から、逃げたい
自分の世界から逃げ出したい→新しい世界を見たい(世界創生)
○須賀と帆高
共通点:田舎から東京に一人でやってきた
本質は似てるが、生き方(選択)が違う
「逃げ続けたら、取り返しつかない」「ちゃんと説明してやる」→オトナのセリフ(論理、正義)
コドモ(感覚、好き嫌い)はオトナには理解できない
須賀の涙の真相
無意識に流れる涙→心が身体を追い越す→潜在意識の記憶=大人になって忘れてしまった大事なコト
○格差社会
前提:陽菜は水商売に手を出す/帆高はホームレス
帆高は生きていくために、晴れ女(仕事)を持ちかける
天気で稼ごう!
→陽菜は、仕事にやりがいを感じる
綺麗な音楽、絵の力で、貧困のシリアスさを感じさせない
○天気の子とジョーカー
共通点
・銃
帆高:空に撃つ
ジョーカー:人に撃つ
・階段
帆高:自分(たち)のために上がる。歯を食いしばって、汗かいて、駆け上がる。
ジョーカー:自分のために下る。笑いながら、タバコ吸って、踊って。
相違点
・愛する人
帆高は陽菜がいなかったら、ジョーカーになり得た
○晴れ女=水商売説?
帆高は陽菜の身体を使って金を儲けてる。
魚は大衆もしくは精子にもみえる。
身体を酷使して、仕事ができなくなる。
○世界への怒り
メタファーは銃
世界(社会、大衆、マジョリティ、オトナ)への反抗→銃を向けること
○天気
天の気分は、本来人間がコントロールできないもの。この世界に仮住まいさせてもらってる。
そこをコントロールしようとする人間たち→社会
○メタファー
・天気→世界、社会
・天気の晴れ→お金、マジョリティー、他者の喜び
・銃→世界に対しての怒り
・魚→大衆、精子
・タバコ、酒→大人の象徴
・猫→帆高の分身
○新海節
・名前の連呼
・タバコ
・お守り
・あの世→お彼岸(天気の子)、君の名は(カクリヨ)
○新海監督視点
陽菜:晴れにする=お金、社会の意見に従う=他者軸
帆高:晴れとかどうでもいい!=自分軸
→誰かのために晴れにしなくてもいい、自分のやりたいように、作りたいように作るんだ!
○曲から読み解く
・「風たちの声」
ノリノリの生き方
笑われないくらいの愛で変えられるくらいの世界→みっともないくらいの声であり得ないくらいの気持ちで勇気、正義、奇跡を使いたい
・「祝祭」
帆高の陽菜への思い
・「グランドエスケープ」
支配からの脱走の歌
太陽の死角に立ち 僕らこの星を出よう→社会、資本主義、お金第一、他者優先の世界から出よう
・「大丈夫」
帆高の決意表明の歌
この世界で、一緒に生きていこう
・「愛にできることはまだあるかい」
洋次郎の音楽活動に対する葛藤
荒野世界で生きる帆高の陽菜への思い