このレビューはネタバレを含みます
見てる途中はうーんって思ったけど、見終わった今はなんだか幸せな気分です。
主人公が平気で法を破っていたり、警察に逆らうシーンは見ててすごく不安な気持ちが煽られたし、決して許されることではないけど、あれはあれでよかったのかなって気もします。
僕はこの映画のテーマは、自分が好きなものは嘘偽りなく好きだときちんと言うということ、だと思いました。物語自体はリアルな東京を舞台に進んでいくんですけど、蓋を開けてみれば、ありえない程の異常気象や超能力。すごく具体的に見えて、ものすごく抽象的なレベルで話が進んでるような気がしました。
一つすごく印象に残ってるセリフがあって、それは、須賀さんの"大人になれよ、少年"というセリフです。大人になるってなんなんだろ。きっと須賀さんにとっては、亡くなった奥さんのことを忘れて一歩前に進むということ、が大人になるということだと思います。でも結果として、帆高自身が、社会なんか気にせずに、目の前の好きな人と共に過ごすという選択をするということで、そんな発言をしつつも未練たらたらな須賀さんの心の扉を開いたんです。この二人のやりとりこそがこの映画の鍵になってると思いました。
最後の帆高の"僕たちはきっと大丈夫だ"というセリフは、それこそ、社会を捻じ曲げてでも大切な人を選んだという選択が間違いではなくて、正しいことなんだという好きなものを大切にするというテーマを肯定してると思いました。
このテーマを少し崩すと、こんな世界の中でも少し乱暴でもいいから大事にしたいものを大切にするという気持ちをもう少し僕たちが持ってもいいんじゃないかというものだと思います。犯罪行為や超能力を強調して描いていたのは、このテーマを僕たちに伝えたかったからじゃないのかなという風に僕は感じました。
“青空よりも俺はひながいい。天気なんて狂ったままでいいんだ。"
