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天気の子のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.0
繊細なドラマと映像美で人気を集めるアニメーション作家・新海誠監督による「君の名は」に続く長編ファンタジー。
雨続きの東京を舞台に、家出した少年と100%晴れにできる能力を持つ"晴れ(少)女"との恋模様を、警察からの逃亡劇を絡めて描く。
音楽は、RADWIMPS
(英題) Weathering With You (2019)

離島から家出して東京へやってきた16歳(高校生1年生)の森嶋 帆高/ もりしま ほだか(声 - 醍醐虎汰朗)は、もうすぐ18歳になるという少女、天野 陽菜/あまの ひな(声 - 森七菜)と出会う。
東京は異常気象で連日雨が降り続けているが、彼女は「100%晴れ女」で、祈ることで確実に雲の晴れ間を作る特殊な能力を持っていた。
彼女は、その能力を使い"晴れ女サービス"をして他人を幸せにすることに喜びを感じていたが、"人柱"になって次第に体が透明になって消えていくという代償を払うことに気づく…。
家族から捜索願が出ている穂高は、陽菜と再会した際に予期せず拳銃を発砲した件もあり、警察から追われる。
更に、陽菜は小学5年生の弟、 凪/なぎ(声 - 吉柳咲良)と子供2人だけで暮らしていることが警察に知られ、児童相談所が介入しそうになる。
穂高は、陽菜と凪と3人で逃亡する…。

ラストは、東京に雨が降り続いて3年後…。

~他の登場人物~
・須賀 圭介/すが けいすけ(声 - 小栗旬)、冴えない編集プロダクションを営む。主人公が船から落ちそうになるところを救い、住み込みで雇う。
・須賀 夏美/すが なつみ(声 - 本田翼):圭介の編集事務所のバイト従業員。主人公に圭介の愛人だと勘違いされる。
・須賀 萌花/すが もか(声 - 香月萌衣):圭介と、事故死した妻との娘。喘息持ち。祖母に育てられている。
・立花 冨美/たちばな ふみ(声 - 倍賞千恵子):"晴れ女サービス"を利用する老婦人。
・安井刑事(声 - 平泉成):中年の男性刑事。
・高井刑事(声 - 梶裕貴):若い男性刑事。
・佐々木巡査(声 - 市ノ瀬加那):婦人警官。
・チンピラ木村(声 - 木村良平):新宿歌舞伎町で、風俗嬢の勧誘をしている。
・その他、「君の名は」の登場人物がたくさんカメオ出演。

「天気なんて狂ったままでいいんだ」

「違う。違う。あの時、僕は、僕たちは確かに世界を変えたんだ。僕は選んだんだ。あの人を。この世界を。ここで生きていくことを」

「君の名は」の大ヒットを受け、前作以上の興行成績を上げた。但し、作品は雑な作りで、質の低下は明らか。
例えば、
・強く祈れば願いが叶い、しかもパトカーさえも爆破させてしまうという、ヒロインのオカルト的能力。
・ヒロインは鳥居をくぐり抜けたことで代償を払うことになるが、主人公の少年は同様に強く祈って鳥居をくぐったのに平気?
・異常気象を受容して(異常気象を変えようとしないで、世界を変えたつもりになって)、自分たちだけの世界で幸せだという"能天気"。
・当然のことだが、晴れだけが幸せではない。雨や雪でも幸せ。
晴れも雨も恵み(幸せ)をもたらす反面、災い(不幸)もたらす。
また、同じ晴れまたは雨でも、ある人によっては恵みになり、別な人には害になることもあるので、"晴れ女サービス"は成り立たない(雨が降り続いていて、全ての人が晴れを望んでいるという前提のようだが…)、
・異常気象とはいえ、雨が何年も続く?もし、本当に続いたら、世界は終末を迎えない?
・主人公とヒロインについて、家庭環境、両親などについての説明が一切なく、
人物設定が薄っぺらいなど…
全体にストーリー、脚本が十分練られていない。
製作を急ぎ過ぎた(製作側が急がせた)のかも知れない。
熱烈なファンには申し訳ないが、新海ワールドも曲がり角にきているということだろう。ヒットに浮かれている訳ではないだろうが、一度、立ち止まってみることも必要。敢えて激励の渇を入れ、まだみぬ「すずめの戸締まり」に期待。
(追記)
この作品の終盤近くは、ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」をちょっと連想させる。
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