寝るのだいじ

天気の子の寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

願えば必ず晴れにできる女の子が、実は気象を安定させるための人柱で、家で少年が救う話。

主人公が幼稚というレビューも散見されるが、私は全くそうは思わない。
年齢的に大人より制限が多い中で息苦しく過ごし、逃げ場も限られていて、でも希望を捨てず藁にもすがる思いで必死になるのは、それしかできないから。
これは晴れ女にも家出少年にも言えることで、わかりやすいのが年齢詐称やラブホで一夜を明かすなど「それしか選択肢がなかった」場面がいくつかあることから言える。

年齢故の不自由さ、そこをどうにかしようと行動する勇気と若さからくる活力は、より良い未来を切り開こうとしていて輝いていた。
あんなに精一杯人のことを好きになれたり思いやれたりすのも、世間知らずだからこそだと、匿いおじさんの「年を取ると優先順位を間違えられない」という台詞からうかがえる。


ギミック
昔は海だった東京を人工的に都市化したからこそ、(海からの水が雨になる)天候によりもとに戻そうとしていた神の力、もし神の望みに抗いたいなら神通力のある生け贄が必要だった。


「君の名は。」のたきくんがお兄さん姿で出ていたし、災害で一つの地域が消滅したという点でも、新海誠さんは「自然のありのままと、人間の欲望は共立できない」と伝えたいのかなと感じた。

確かに日本は地域それぞれに神様がいて信仰があって、その信仰(お神輿やお賽銭など)により神様も落ち着いているとされている。大昔だと祈祷師が居たように、神様に助けられている前提で生活をしていた。
信仰は自由だし、確かにその信仰もあっていいと思うが、ならば阪神・淡路大震災や東日本大震災は神に背いた人間の罰ということにならないか?
私がまだ観ていない「すずめの戸締まり」で震災について10年以上たった今だからこそ語れるエピソードがあるらしいので、そこでこの怒り混じりの疑問が解消されることを願う。
「すずめの戸締まり」でこの疑問が解消されれば「君の名は。」「天気の子」と自然災害三部作のような扱いと捉えることができる。

このことを踏まえると、本作品観賞後から時間を空けずに「すずめの戸締まり」を観ないと、フィクションの名の下に自然災害で人の命が奪われることを美化して描いているとしか感じられないので、すぐレンタルで続けて観られるこのタイミングに鑑賞してよかった。