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天気の子のTSのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
2.4
【予告編詐欺】55点
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監督:新海誠
製作国:日本
ジャンル:アニメ
収録時間:114分
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2019年劇場鑑賞41本目。
今年一の期待ハズレ。あの『君の名は』から早3年。あの時かなり騒がれていたので公開初日に見に行ったのを鮮明に覚えています。大して期待していなかったのですが、いわゆるセカイ系の圧倒的美術、RADが奏でる名曲、そしてやや唆られるSF的ファンタジー要素が重なり、結果的に『君の名は』は自分の中で最高のアニメ映画となりました。その新海誠の最新作となると期待しか出来ない。仕事を必ず18時半くらいに終わらすという執念のもと、なんとか滑り込んで鑑賞した今作ですが、その期待は大きく裏切られました。
予告編詐欺も甚だしい。映像美と音楽はともかく、脚本がお話にならない。『君の名は』の足元にも及ばない残念な仕上がりになってると言わざるを得ない。なによりも主人公が身勝手であり、自分たちが世界を大きく変えたなどの虚言を吐きちらすので痛々しい。いや、『君の名は』でもそういう描写がたしかにあったかもしれないですが、あれはかなり丁寧に作られているストーリー構成だったので気になりませんでした。しかし、今作の主人公と天気の子である陽菜にはそういう段階が見当たらない。見ているこっちからすると非常に説得力の弱い描写しかないのです。

家出をして上京してきた16歳の少年帆高はアルバイトを探している中で、ファーストフード店で働く陽菜に出会う。彼女には、秘めたる力があったのだが。。

簡単に言うと、今作の注目ネタは陽菜が祈れば、天気が晴れるという極めて幼稚めいたもの。確かに晴れを求める人が世間にこんなにいるのかというのは興味深いです。そこに目をつけてこれでアルバイトをしていくのだから驚きです。ただしこの能力を使いすぎたら代償を支払わなければならない模様。でも陽菜のことが好きだから帆高少年は警察から逃げ出し空に飛んでいきます。なんだそれ。感動もありゃあしない。そもそも何故帆高が家出をしてるのか作中ではよくわからないし、警察は拳銃を所持してる可能性のある人物を捕まえようとしてるだけで何ら悪くない。それなのにこの作品といったらずっと帆高のターンにしていて、警察の追随を許しません。終盤で『千と千尋の神隠し』の真似事をされても失笑しか生まれません。ただただ身勝手な少年が不思議な力を持つ少女に恋をして地の果て空の果てまで追っていくというお話なのです。

これを普通のタッチで描かれていたら最早救いようがなかったでしょう。ただ、流石に映像美は素晴らしく、そこに関しては『君の名は』クラスかそれ以上。曇りの大都会東京の描写は超緻密で魅了されましたし、日本の現代社会の街並みも忠実すぎるほど再現できています。また、RADありきの新海誠作品となりつつありますが、今作のRADの曲も中々のもの。中でも個人的には「グランドエスケープ」は名曲であり、あれが流れたシーンだけ鳥肌が立ちました。この映像美と音楽のお陰で55点あります。脚本やギャグなどの表現の仕方に関しては残念ながらどうしようもない。見ているこちらが恥ずかしくなってしまいます。

しかし、あの大ヒット作の後に作る作品となるとたしかに相当なプレッシャーがかかるでしょう。ふらっと映画館によって鑑賞する分なら、映像も音楽も良いので良いものを見た気分になれるかもしれませんが、『君の名は』の感動をもう一度!と思って映画館に足を運んだ客層からすると不満点が非常に多いのではないでしょうか。いずれにせよ、高得点はつけれません。
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