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天気の子のArts0001のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.5

なかなか梅雨が明けないこの時期にこそ見にいく映画だと感じました。

映画のテーマは天気、そして雨のシーンが多く、都内に住む人ならゲリラ豪雨による被害なんかも想像してしまうと思います。そんな映画の追体験ができてしまう今こそ劇場に行くのがおススメです!特にTOHOシネマズ 新宿w

では、本題です。

まず、面白かったです。飽きさせない話運びと丁寧な人物描写がされており、物語に引き込む新海誠の力は健在でした。

主人公の動機や取り組む姿勢が、あくまでも子供の目線や考え方であり、それを大人が見ると焦ったかったり、非効率に見えたりすると思います。

しかし、これが多幸感に繋がる作りになっていて、不器用なんだけど前に進もうとする主人公と、集まってくる周りの人たちの繋がりが徐々に強くなっていき、最後にはキャラクター全員に好感が持てる作りになっています。

子供なりの身勝手な考え方で犯罪行為に走ったりしてしまいます。犯罪行為には、言及しないのが青春映画の中にありがちな甘やかしなのですが、甘やかしてしまうと気持ちの悪い映画になってしまうので、そこをちゃんと登場人物に怒られる、警官に怒られるというシーンも入れて、バランスを取っており好感が持てました。

新海作品の絵は、写実的なんだけどどこか幻想的なバランスで描かれていて、魅力的に感じるのですが、脚本にしても現実とあくまでも地続きのフィクションである。ということを大事にしてると感じます。

東京で生きていくことのリアル、子供だけで生きていくことのリアルには様々な問題があり、それに対して甘えは通じなくて、一歩間違えば犯罪者になってしまうような、危ういバランスが、前述した仲間たちとの多幸感と対比されていて物語の推進力になっていると感じました。

物語中のある嘘が、後半明らかになっていく作りもグッとくる。ここも子供達だけのリアルによって際立つ良いセリフがあったりします。

ヒロインの弟が絡むギャグテイストが良く、シリアスの中に笑いを提供してくれたりします。

話の着地にも驚かされて、新海誠って都会が好きだと思ってたけど、同時にそこにいる息苦しさも表現していたので、そこがこの話の着地につながったのかと感じました。
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