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天気の子のレクのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.0
曇天に降り止まない雨、 雲の切れ間から射し込む陽の光。
移りゆく天候を人の機微、心模様として描き出す情緒ある映像美が観客の心をも動かす。
またロシアの思想家トルストイの思想が、超然と事の本質を見極める諦観として"世界"を変えることのダブルミーニングを持たせる。

ロシアの思想家トルストイの言葉。
『他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。
他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ。』
『誰もが世界を変えたいと思うが、誰も自分自身を変えようとは思わない。』

"世界"を守る「君の名は。」と"世界"を変える「天気の子」。
新海誠監督作の集大成でもあった「君の名は。」との差別化を意図したであろう対比は逆行する雨粒のように過去作への原点回帰を示す。
年齢、時間、距離といった男女の恋愛における障害をファンタジー且つ現代社会の問題に落とし込んだひとつの救済の形である。
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