キノ

2分の1の魔法のキノのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.0
「やぁ」と「さよなら」を言いたい兄弟の前進 (onward) を描くピクサー作。小中学校の教材でも、おかしくない.

英語問題:share my life with him の him は誰のことですか?
国語問題:「人生を分かち合う」は邦題にもかかっていますが、では何がハンブンコになりましたか?

スクリーンは実在の魂が投影され輝く。それを「商業作品の制作工程」に組み込んだピクサー。本作も分かりやすく心に伝わる脚本が凄い。STORY に関わる人間が、22 人いるのだから納得。インサイドヘッド (星 5) は超えないが DVDもおすすめ。コメンタリーでは、父の遺したテープと会話した監督の magic な想い出が語られている。それを知った上で見たほうがより感動できると思う。たぶん本作に「剣と魔法」を期待すると外れる。

↓(ネタバレと解答例)



↓(芸人声優は失敗だった)

問1答: him は father で big brother で、映画後なら mother's boy-friend にも主人公は出来るはず。何故なら、主人公は「彼を演じた」から.
問2答: ハンブンコなのは「死別の悲哀」。映画は体半分を復活させた魔法で始まり、最後は兄弟の内の半分しか願いが叶わないものの、「彼のお陰で悲しさが半減した」現実に気づかされる

悲哀を半分に出来る誰か。そんな誰かの大切さを再発見させる「魔法」。その魔法を観客にかける。それが本作「二分の一の魔法」だった.

魔法が完成するクライマックスは、父への哀しみではなく、兄への喜び。だから、暖かい涙になる。もちろん父との二度目の離別でもあるが、弟の二度目の成長でもある。一度目はbe like ``my'' dad で、二度目は be like his(=兄の) dad という脅威の伏線回収。つまり弟の眼差しが「兄を父のように見守る視点」だから私は泣けてしかたない。しかも兄を見守る弟を見守る観客という構造も上手い。岩間に輝く光を覗く弟は、スクリーンに輝く光を見る観客と、相似構造。父と兄が再会する『映画』を鑑賞する弟に、観客は感情移入してしまう。

画面の弟を笑わせ、観客を泣かせる。この場面を描く骨組みが素晴らしい。

批判と改善点は、省略!
キノ

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