WORLDをタイトルに冠するだけあってセカイ系作品か…
と思いきや、重層的に複数世界を描き、それぞれを肯定するという面白い試みをした作品だった。
重層的とはいいつつも、「データ世界」と「現実世界」に果たして上下関係はあるか?というテーマが根底にはある。
故人を取り戻すため「データ世界」をただの手段として蔑ろにする選択は、
「現実世界」の我々にとって果たして安易に咎められるものだろうか?
結果的に、「データ世界」でしか紡がれなかった関係性が「世界」のアイデンティティとして機能し、
それぞれの「世界」の肯定につながっていく。
だからこそラストの「現実世界」をも相対化する描写は、
どんでん返しのように見えてしかし作品テーマにしっかり沿っていて、
意外性よりも納得感が勝った。
ド頭で感じた不安を後半ラストが全部払い去ってくれて大変面白かったです。