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ルドルフ 赤鼻のトナカイのMOCOのレビュー・感想・評価

ルドルフ 赤鼻のトナカイ(1964年製作の映画)
3.5
「そうだ、お前の鼻はなんて素晴らしいんだ。良かった、(吹雪だが)クリスマスを中止にしないですむ。お前がクリスマスのソリの先頭に立つんだ。その鼻が役に立つんだからな」

 赤鼻のトナカイ・ルドルフのお話は大恐慌の時代、貧しいコピーライターの父親が4才の娘に病弱な母親のことを「どうして私のママは、みんなのお母さんと違うの?」と尋ねられたことから、娘のために作った「みんなと違って生まれてきたトナカイがサンタに求められ活躍するお話」です。やがてお話は会社の冊子となり無料配布され多くの人に知られる様になります。
「赤鼻のトナカイ」の歌はそのお話が基になって作られています。
 この映画はアメリカではメジャーな映画です。

 プレゼントをつくるクリスマスタウンのファーミーはオモチャ作りが下手な歯医者になりたい妖精の子供です。オモチャ工場のリーダーからクビにされる前に自分から工場を出ていきます。

 ルドルフはサンタの8頭のトナカイのリーダードナーの息子として生まれるのですがみんなと違って赤く光る鼻でした。
 生まれたばかりのルドルフを見たサンタに「この鼻では私のソリを引かせない」と言われルドルフは赤い鼻に泥を塗られ育てられます。
 
 ルドルフはサンタのソリを引くための教室で、見学に来ていた女の子のトナカイクラリスを好きになります。
 クラリスに「ステキ」と言われたルドルフは教室で舞い上がりすごいジャンプを披露するのですが鼻の泥が外れサンタに「あの鼻はいったい何だ」と言われみんなから仲間外れにされ、クラリスのお父さんからは「うちの娘とは遊ばせない」と・・・。

 似た者同士のルドルフとファーミーは偶然出会い二人で外の世界に出ていきます。
 途中みんなのクリスマスツリーを飾る金と銀を探すユーコンコーネリアスという大人(人間?)と知り合い、3人の旅になります。
 ある日雪男から追われた3人は流氷に乗って逃げだし、氷の島にたどり着きます。
 そこは子供がいないオモチャの島。ムーンレーサーは子供に遊んでもらえない言ってみれば出来損ないのオモチャを見つけては島に連れて帰ってくる羽のついたライオンの王さまです。
 王さまは「このオモチャたちと遊んでくれる子供がどこかにいるはず、いつかサンタに会ったら話してくれ」と言います。
 その夜「雪男に見つかってしまったのはこの鼻のせい」とルドルフは一人島から出て行きます。

 数ヶ月の一人旅で逞しくなったルドルフは後2日でクリスマス・イブとなった日、家に戻るのですがお父さんはルドルフを探しに行き行方不明になっていて、お母さんとクラリスも後を追って行方不明になったことを知ります。

 雪男に捕まっていると思ったルドルフは雪男の洞穴でみんなを見つけ、勇敢にも雪男に立ち向かうのですが雪男に捕まってしまいます。そこにルドルフを探していたファーミーとユーコンコーネリアスが現れルドルフたちは助けられます。(雪男は気絶させられて、ファーミーに歯を抜かれ、目覚めたのでユーコンコーネリアスが谷に突き落とすのですが、ユーコンコーネリアスも落ちて行ってしまいます)
 
 ルドルフの苦しい旅の話を聞いたサンタや他のトナカイは自分たちがルドルフを仲間外れにしたことを謝ります。雪男も友達になりユーコンコーネリアスの金と銀で大きなツリーの飾り付けをします(2人は深い谷から戻ってきます)。

 そしてイブの夜は大嵐「この吹雪では今年のクリスマスは中止する」とサンタが話し始めた時、サンタはルドルフの鼻があるなら・・・と気がつきます。

「今日はクリスマス・イブだよ、なのに・・・」
「僕たちは誰にも相手にされない」
「でもルドルフがサンタさんに伝えてくれたはずよ」
「きっと僕たちのことなんか忘れちゃったんだよ・・・。寝よう!来年のクリスマスの楽しい夢を見られるかもしれないから・・・」
「そんな楽しい夢なんか見られないわ、この島から出られないのよ、ずっと・・・」
「ちょっと待って、これなんの音?ほら」
「・・・・・・」
「信じられない!サンタさんだ、ルドルフがソリを引いているよ!」
「ルドルフのお鼻よ!」
トナカイの先頭に立ったルドルフは約束通りムーンレーサーの島で友達になったオモチャ達もプレゼントの大きな袋に入れて子供たちが待つ・・・。

 この映画もなかなか観ることができません。機会があればぜひ観て戴きたい映画です。  
 前半部はあまりに理不尽なストーリーですが、1964年の作品とは思えないほどできのいいぬいぐるみ劇です。NHKで放送された川本喜八郎氏の『人形劇  三国志』・『人形劇 平家物語』のようなコマ撮りの映画です。

『他人と同じでなくても良いのです』・・・コピーライターの父親は4才の娘に他人と同じでないことがもたらしてくれる倖せがあることを教えたかったのですね。
 個性って本当に大切。
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