バートロー

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのバートローのレビュー・感想・評価

4.5
サム・ライミが地獄から手を突き出してマーベルに戻ってきた。ノーウェイホームしかり、マルチバースオブマッドネスしかり、もうMCUはいいかなと思っている時に、これだと思う作品が出てくる。サム・ライミ監督の1人オカルティックユニバースとドクターストレンジの融合。ファンならお馴染みのジャンル・サム・ライミなカメラワーク、演出の諸々がふんだんに織り込まれたグルーヴ感強めのジェットコースター映画。ゴアに関してはもちろん控えめだけど、サム・ライミのフィルモグラフィを通ってきたのがタメになることがあるんだなとしみじみ思うほど頭から尻尾までサム・ライミ三昧だった。本当に呪われた本とか悪霊とか降霊が好きな監督だな。

それでいて、多元宇宙にまたがる複雑な内容に真っ向から向き合っているのになぜかきっちり2時間に収まっている。時間を歪めたのかなんなのか分からないけど、確かに2時間に収まっている辺りにやりたい放題に見えつつ映画の根本やタイムラインを熟知した職人技と格の違いを感じた。ダニー・エルフマンの音楽も冴え渡っていて、詳しくは言えないけど、カオスでマッドネスが最高潮に達するシーンの一翼を担っている。マルチバースについて、後続の監督がここまで上手くやれるのかが今後の懸念じゃないだろうか。『ワンダヴィジョン』のことはよく分からないけど、監督の代表作、特に『死霊のはらわたⅡ』の方が余程必須だと思う。