ケンタロー

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのケンタローのレビュー・感想・評価

4.0
MCUの厳しい作品コントロール下にありながらもセルフオマージュからホラー演出まで、えげつないボリュームで作家性を打ち出した極私的Dr.ストレンジ。

そう、監督はサム・ライミ…

「この男の本質は変わらない」

そして、イルミナティのご指摘のとおり、スティーブン・ストレンジの本質も変わらんのだ…。

元カノの結婚式で余裕ブッこいてキザに魔法使ってワインを注ぐ。1マッド

無銭飲食した子供を擁護し店主に逆ギレ、目に辛子、自傷の呪いをかけるモンスターペアレントと化す…。 2マッド

別宇宙の元カノに変わらぬ愛を告げ、自分だけスッキリして意気揚々と街に繰り出す… 。嗚呼マッドネス!

スティーブン、そーいうトコだよ!って強く思ってしまい、ちっともロマンチックには感じなかった…。【3,000回 愛してる】とは比べ物にならん😂

みんなDr.ストレンジが人間的に成長したって言うのだけど、いやホント微速前進レベルだから!笑 

そう、本作でもスティーブン・ストレンジは傲慢で独善的で、そして別れた女に未練タラタラで、だからこそ魅力あるヒーローたるのだと再認識させてくれる。
どんなに超人的なパワーを持っていたとしても、いわゆる人間力が欠落しているからこそスティーブンのキャラクターと物語にはリアルが感じられる。

反面、ワンダの堕ちっぷりは理解出来るものであるものの、サム・ライミ演出も手伝ってか、いささか醜悪に描き過ぎではないか?とワンダが不憫に思えてならなかった。

ドラマ『ワンダ・ヴィジョン』を視聴していれば、ワンダの怒りや、その喪失感と悲しみの深さ故の暴挙ということがよく理解出来るが、それを知らなければ唐突に怪物と化してしまった情緒不安定なワンダと思われかねないのが少し乱暴であったようにも感じる。

あの結末は切なすぎてワンダがあまりにも可哀想だし、その後、一人スッキリして、且つミッドクレジット登場の新キャラにしたり顔で応じる順風満帆ストレンジ先生にちょっと腹が立ったわ 😡

個人的にはミッドクレジットでもポスクレでも良いから颯爽と白ヴィジョンが救いの手を差し伸べる絵を期待していた。
まったく白ヴィジョン何してんだ!?💢

しかし、これだけのボリュームをきっちり2時間とちょいに纏め上げた監督の手腕は流石! 非常にスピーディーに展開させて、まさにマルチバースを駆け巡るストレンジ先生とアメリカ・チャベスのように翻弄されまくった💫

冒頭述べたように、きっちりと自分色に染める強かさ、凝りに凝った映像表現、キモカワイイならぬキモオモロイなユーモアセンス。
音符バトル🎶なんて、映像と劇伴のハイブリッドバトルでスゲー!と感じつつ、ストレンジ先生って別に音楽に造詣深くねーべ(^o^;) 何でこんなに楽器にこだわるんだよ?とツッコミたくなる雑念に可笑しくなったり…笑 

さらに、壮大なスカしとも言えたイルミナティなんて、サム・ライミの意地の悪さがよく出ていて好きだわー😂

そんなわけで、アノ人ってやっぱりちょと変わってるよなとヒソヒソされちゃうストレンジ先生の一歩進んで二歩下がる変人成長物語の続きに期待大🎶

レッツ!ダークディメンション!!