脳みそ映画記録

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの脳みそ映画記録のレビュー・感想・評価

4.5
本作をみるにあたってベースとして『スパイダーマン・ノーウェイ・ホーム』やテレビシリーズの『ホワット・イフ...?』や『ワンダ・ビジョン』などが前提としてあるが、以外にもそれらを観ていなくても理解できるような作りとなっています。前提が山程あるにもかかわらず、間口が広いというのはさすがサム・ライミの構成力の高さといったところでしょう。

主人公のドクター・ストレンジはスーパーヒーローでも傲慢な側面のあるキャラクターでした。
過去のエピソードでも彼の関わる大きなエピソードが2つあります。

1つ目はサノスへのタイムストーンの譲渡です。
これにより宇宙の人口の半分が死亡することになりました。結果としては5年後にみんな生き返るのですが…。ストレンジはサノスを倒すためにあらゆる方法を検討した上でこの方法しかないとして選択したので、責めるのは酷ですが、独断で宇宙の半分の人口を賭けのテーブルに載せたのは事実です。
また、半分の人口を殺しても犠牲になった人々もいました。
特にワンダは自らの手で恋人のヴィジョンを殺さねばならない事態になってしまいました。
(殺したのにサノスにもう一度殺されるという目も当てられない結果になりました。)
本作でも5年間死んでいた間に家族の死に目に会えなかったことに対してストレンジの同僚から「本当にあの方法しかなかったのか?」と問われていましたね。

2つ目は『スパイダーマン・ノーウェイ・ホーム』での出来事です。
本来ピーター・パーカー少年を導く大人であるはずのストレンジの魔法が事件の発端でした。
これも子供には重すぎるような犠牲をピーターに強いる結果となってしまいました。

この世界のためにやるべきことをやった。
論理的に考えてより大きな善のためには犠牲は仕方がない。その選択を自らが制御し自分が背負うという根底的があるキャラクターです。これもその通りなのですが、スーパーヒーローとしてはどうなのでしょうか。

前提が長くなりましたが、本作においてはそんなストレンジがアメリカ・チャベスのメンターを務めることによって、スーパーヒーローとしての人格が成長する物語だと思いました。
他のユニバースのストレンジはどれも結局は先述のような選択を選んだストレンジたちでした。しかし、主人公のユニバースのストレンジはそんなストレンジたちの中からスーパーヒーローとして頭ひとつ抜き出ることができたのだと思います。
今後のヒーローとしてのストレンジの活躍に大いに期待ですね!!


次に今回のヴィランとして扱われたワンダ=スカーレットウィッチですが、過去作ではアベンジャーズとしてヒーロー活動をしてた人物です。
彼女の本作の扱いについては賛否あるようですが、個人的には「まぁスカーレットウィッチって元々そんなキャラクターだよね。」って感じで割と肯定的に捉えました。
むしろ、「身を呈して守ったなに…恋人まで殺して世界を守ったのに…結局自分の幸せは何一つ手に入らなかった。」というヒーローに背負わせてきた絶望がヴィランとなった姿がとてもよかった。
このヒーローへのアンチテーゼ感が実にサム・ライミらしい。

邪魔者を血祭りにあげながら追いかけてくるスカーレットウィッチは本当に怖かった。
被害者の返り血でキャリーみたいになってる!
しかも超能力が、めちゃくちゃ強いから勝てる気がしないのよ…。

サム・ライミらしさはシュマゴラスもといガルガンドスの扱いですけどね。

過去のMCUらしくはなくサム・ライミらしい映画となっていてMCUの中でも群を抜いて面白かったです!!


あと余談ですが。
予告編でゾンビのストレンジが動いてたからてっきりマーベルゾンビーズのユニバースあるのかなと期待しましたが、これは違いましたね!
それと、ウルトロンを制御下においてるのはサプライズでしたね。