たわらさん

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのたわらさんのレビュー・感想・評価

4.4
Doctor Strange in the Multiverse of Madness / Phase4

インフィニティーサーガでは初期メンバーにフォーカスされることが多く、単発の少ないメンバーにもフォーカスをしてくれたのは良かった。そういった意味でも特殊攻撃かつ最強格の2人の対決は夢のカードである。同時に、サム・ライミ監督が手掛けただけあってMCUでは珍しいホラーテイストの作りも新鮮。途中T-Xいたよね。

ストレンジの単発でもあり、ワンダヴィジョンの完結編の意味合いも強い一作。物理的解決を施してきたMCUだが、アメリカの心の成長を描きつつ、スカーレットウィッチに自省を促したのは良い。また、自分がメスを握らないと気が済まない傲慢さを指摘されたストレンジは2016年の単発作品のストレンジと比較しても大きな成長を遂げた。

本作は現実逃避をする者たちが今いる現実を向き合い肯定する物語である。ヒビが入った腕時計を変えるのではなく治すというアイテムの見せ方が巧い。マルチバースをファンサービスだけでなく、上手くテーマ性に落とし込んでいるため、マルチバースサーガでのメッセージの片鱗が表れていた。

マルチバースやタイムマシンといったフィクション要素は過去改変のための都合の良い代物になるように扱いを間違えるとただの現実逃避である。そういう意味では『エンドゲーム』の批判にはなるが、『STAND BY ME ドラえもん2』や『アバウトタイム』のようにやり直しが効かないのが人生であることが欠如している。

ドラマシリーズの視聴を要求されることに物議を醸しているが、MCUは一本の映画ではなく複合的なエンタメコンテンツとしてネームバリューを伸ばしたシリーズなのでこの期に及んで何を今更といった感じ。まぁ『ワンダヴィジョン』は間伸びしていたので、4話×30分程度で収めてほしかったのは正直な感想。
たわらさん

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