誰かひとりの白人を悪者に仕立ててキャラクターをデフォルメして対決させるような従来の安易な手法を取らずにただただ真実のみを積み上げていく堅調な演出。しかし、その皮下にはマグマのように熱い煮えたぎった怒りを内包していてその想いに終始圧倒される。
もう何千回と見た白人の警官が何の罪も犯していない黒人に対して理不尽に押さえつけて身体検査をする場面はいつ見ても怒りを覚える。救いはその身体検査をした刑務官が最後には黒人に寄り添うようになること。
ラストの冤罪が晴れて出所してくる実際の映像の説得力ったらない。それがつい数年前という事実に衝撃を受ける。アラバマ物語とは何だったのか?