ふじこ

黒い司法 0%からの奇跡のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

う~ん、良かった。
新米弁護士のスティーブンソンは本当に困っている人達へ手を差し伸べる為に遥かアラバマへ出向き、死刑囚達へ支援を開始する。
その中でジョニー・Dことウォルター・マクミリアンが誰がどう見ても証拠や根拠の足りない理由で死刑囚として服役している現状を変えようとする。
最初は信用も信頼も、一緒にやり直そうとする気もなかったウォルターがあくまでも真摯に接するスティーブンソンにやがて心を開き、二人で無実を勝ち取る戦いへ挑む。

昔観た"ザ・ハリケーン"と言う映画を思い出した。あちらも非常に些末な捏造された証言一つでたまたまそこに居ただけの黒人が投獄されてしまう話だった。
この映画でも、"顔を見れば犯罪者だと分かる"と強烈な差別意識の元に無実の黒人が死刑囚として投獄されている。
その一方で、死刑囚官房の中では黒人も白人も互いに声を掛け合える仲なのがなんとも物悲しい。

死刑制度自体はあって良いと思う。愛する人が理不尽に殺されたとしたら、わたしはきっとその相手に死んでほしいと思うだろうから。
ただそれが冤罪だった時の事を考えると恐ろしい。実際に犯罪を犯した奴は野放しで、無関係の第三者の死を願い、それが果たされていたとしたら。
差別意識ででっち上げをするって事はそういう事で、この場合は白人遺族の気持ちすら踏み躙っている事になる。

スティーブンソンの語る正義や司法は心に響くが、ラストの死刑囚10人あたり9人が執行、1人が冤罪・釈放と言うとんでもない数字が出されて幕を閉じる。
ウォルターや彼の友人の事を良かったと思う一方で、今日この日までに一体何人の人が冤罪で命を落としたり、何年も投獄されたりしてきたのかと思うと心に影を落とす。
ふじこ

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