てんびん

黒い司法 0%からの奇跡のてんびんのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
4.5
アメリカの人種差別に関する法廷映画って結構数があるんだけど、今作はその中でも抜群に良かった。
理不尽極まりない主観と雑な捜査をよしとする司法に対する怒りで登場人物と感情がシンクロする。事実に基づいた映画でありながら退屈さは感じずに映画にスッと入り込めた。フィクションであって欲しいくらい理不尽だけど。
実際にあった事件を扱って、様々な社会問題も提示しつつ、最後まで緊張感を保って進行するためエンタメ性もしっかりある。傑作。

アメリカの国土の広さ、人口の多さ、事件の多さといった要素もあって一件一件の事件を精密に出来ないとか、スピーディーな解決が望まれるとか、実際に起きる事件はシンプルなものが多いとかいった言い分もあるかもしれないけど、いくら何でも度を超えた雑さ、固定観念の強さ。一昔前のアメリカの酷い面がこれでもかってくらい出てる。
それでもこういう映画を作れるアメリカの懐の深さは好き。

「0%からの奇跡」って副題はなんとかならんかったんか。いらんやろ。
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