まっつぁんこ

黒い司法 0%からの奇跡のまっつぁんこのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
4.3
映画の冒頭はアラバマ州の森の中。
ジェイミー・マクシミリアンは大木を伐採し、開けた空間に広がる空を眺めている。
アラバマ州と言われても位置がわからない(笑)
フロリダの北西で両隣はミシシッピ州とジョージア州。
キング牧師の映画「グローリー/明日への行進」で有名なセルマもアラバマ州にあり人種差別のメッカといったところ。
ジェイミーは仕事を終えて車を走らせていると停車を命じられて逮捕される。
ろくな裁判もなく死刑判決をうけて収監。
ここまでの進行が早くて、あとの割と長い残りの上映時間をどうするのだろうと思った。

そこに登場するのがハーバード出の黒人弁護士ブライアン・スティーブンソン。
家族の心配や反対を押し切って火中の栗を拾いに行く。

死刑囚支援の事務所を開くのでさえ困難を伴う状況。
趣旨を聞くと事務所を貸すことを拒否されてしまうのだ。
エバ・アンスリーの協力でなんとか事務所開設。
収容されている11人の死刑囚との面談を実施。

実話ベースだからもちろん説得力はある。
が、それだけに映像的に映えるストーリー展開にはなりにくい。
こんな話を退屈させずに魅せるのは俳優の演技力。
ジェイミー・フォックスはともかく、ブラック・パンサーのマイケル・B・ジョーダンがこんな高度な演技をするとはさすがである。
長い尺を退屈することなく観ることができた。

それにしても、これは直近のできごと。
保安官はこの後何回も再任されて最近リタイアしたとのこと。
今だってこれに近いできごとが頻発しているであろう。
アメリカでは死刑囚10人のうち9人が執行され1人が冤罪。
異様に高い過誤率だ。
一方で真犯人は野放し。
ホラー映画より断然こちらの方が怖かった(笑)