kuu

犬鳴村のkuuのレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
3.0
『犬鳴村』映倫区分G.
原題 HOWLING VILLAGE.
製作年2020年。上映時間108分。

清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。

臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだす。
その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる
『犬鳴トンネル』が浮上する。
突然死したある女性は、最後に
『トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た』という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。
連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが。。。

犬を食べてる村。
確かに怖いとは思うけど、小生が育った町には、子供の頃、隣町から犬の肉(ケンビって云ってた)を売る人が来てた。
それは確かに怖かった、何が怖いって、売り歩くためにケンビを載せたリアカー(子連れ狼で、一刀が大五郎を載せてるやつみたいな)の先端に犬の頭を突き刺してた。
これマジに。
ほんで、犬鳴伝説のような噂も云われてたし、今思えば差別に他ならない。
せやし、犬鳴伝説みたいなのは、なきにしもあらず。(あくまでも部落差別が行き過ぎて都市伝説)
(犬鳴峠と犬鳴村はそれぞれ別個の恐怖を内包するスポット)
しかし、今作品の犬鳴トンネルのセットはいかにもって感じやし、デフォルメしまくりやろって検索したらあるんかい。
今作品のセットはかなり精巧に再現してるし感心した。
心霊スポットとか都市伝説やろけど、どうも洋画の怖さと違い、身近な怖さでビビらさせてくれました。
今作品は、犬鳴トンネルの都市伝説に基づいているらしく、自縛霊を見ることができる心理学者の森田奏(三吉彩花)に焦点を当ててる。
兄ちゃんが犬鳴トンネルをイタズラに探索して危うきに近づいたが元で、恋人はとり殺され、兄ちゃん自身も姿を消すはめに。
小生は、あまり幽霊の類いは信じないけど(考えたら怖いのとアホらしいのが多いし)、幽霊スポットってとこは極力、近づきマヘーン。
ガキの頃はよく根性試しに云ったけど(滋賀県にあった幽霊ビルは下にツレが見てる中、一人で上まで上がった時はションベンチビりそうな位い怖かったし、檀ノ浦じゃ沢山の鬼火見たしエトセトラ)その後、ロクなことはなかった。
まぁ関係ないとは云え危うきは近づかないに越したことはありまへん。
お話に戻り、
彼女は家族の歴史とトンネル内の噂の隠れ里を掘り下げて兄ちゃんを探す。
今作品で提示されたストーリーとアイデアはまぁ興味深く、過去の差別や迫害、そして歴史からの消去ってのからの、人の罪悪感から作り出す恐れや、犬鳴の伝説の、心霊ちゅう超常的な恐怖と、言葉や常識の通じない人間に襲われる現実的な恐怖、そのどちらも同時に襲ってくる可能性のある恐るべき場所を効果的に、メタファーに使った都市伝説を巧いこと使ってます。
個人的には心に訴える映画って側面も感じたかな。
当たり前に行われた集団差別、部落差別のメタファーだとか、ダムに沈んだ村だとか。
謎が解き明かされるにつれて恐怖を構築もまぁまぁされてた。
犬鳴村は、面白いストーリーとジャパニーズホラーとしての怖さもあり、説得力のあるキャラが登場する楽しいホラー映画やったかな。
※楽しいって云っても、ホラーが苦手ならかなり怖いと思いますよ。
一貫して不穏なトーンを維持することによって、映画がより恐ろしいものになるんやと改めて感じましたし、テーマ(犬鳴村都市伝説)の要素をうまく利用して、記憶に残る恐ろしい瞬間を作り出すことに成功してるんちゃうかなと。
余談ながら、臨床心理士の森田奏ってホンマに心理士かい。
弟の作った犬鳴村の俯瞰ジオラマを心理学見地から、弟の心理分析(箱庭療法的に)しないんかい。
まぁ、これは個人的な要望やったけど、作品を通して、心理学技術が一切使われないのは残念無念。
心理士じゃなくてもいいんちゃうの。
kuu

kuu