NinaSinnerman

シークレット・ヴォイスのNinaSinnermanのレビュー・感想・評価

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
3.7
久々のナイワ・ニムリ。
アフリカ系かと思うような変な名前だけど昔からいつ観ても凄く魅力的な女優さん。

知らない監督だったけど美意識の高い画で、凄味もあった。

内容は「ルームメイト」とかナイワ・ニムリかぶりで自前的だけど「オープン・ユア・アイズ」とか、まあアリガチっちゃアリガチな、アイデンティティの歪みがベース。
ただ、母性という概念を軸としているかのように見せて、実はまるで母性を持たずエゴのみで生きるしかない女たちだけの、全く男の存在しない閉鎖的で空虚な世界をベタ塗りで描いている、という視点では結構異質かもしれない。

観終わった後反芻してよく考えて、あの厚化粧のマクドーマンドみたいな(笑)ヴィオレタが一番罪深く、他は天秤にかけたら憐憫に傾くと私は思いましたが、さて何故でしょうか?
リリは不憫過ぎた・・が、あれ、諸悪の根源でもあるのか?!
うーん、余白が面白い。

ゴヤ賞の国スペイン。
血生臭く昏く重く哀愁漂わせつつアートにするのは得意よね。
見応えがあって嫌いではないけれど。
そういやちゃっかりサトゥルヌスの話まで噛ませてあって、謀ってか謀らずもか仕込みも結構執拗(笑)

スッキリするような映画ではないけれど、質が良く品も良さげなのに実はサイコでサスペンスな人間模様を観たいときには(だいぶ限定的・笑)オススメできます。
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