髙田由美

シークレット・ヴォイスの髙田由美のレビュー・感想・評価

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
3.6
折り紙、壁に飾られた扇子、部屋着としての着物。
海外の日本好き監督が映画に日本のアイテムを使うのを時々見かける。その中には「なんだこれ」という使い方で雰囲気ぶち壊しのものもあるが、この作品でのさりげない使い方はとても好き。「好きな映画は?」「裸の島」…まさかの…乙羽信子?渋過ぎる。

母と娘の複雑な関係。
血の繋がった親子といえど別々の人間。
母親はいくらか我が子の素行や態度が悪くても、根底には自分と同じ程度の倫理観や人間性、愛情があるのだと信じてしまいがち。幼い頃はものすごい駄々をこねても癇癪起こしても最後には「ママ〜」と甘えてくれたから。そして自分は子供に間違いなく愛情を注いできた(と思っている)から、それが伝わっていない、それに意味がないとは認めたくない。
けど世の中で様々な事件が起こっているように、親の努力や気遣いにも関わらず本物のクズが育つこともあるのだ、哀しいことに。
成人した我が子とは「ちっちゃなあの子の延長」としてではなく、ひとりの身近な人間として冷静な目で見定め接するのがいいのだろうな。
…無理無理。だって可愛く甘えてくれた頃の面影あり過ぎるんだもの。
髙田由美

髙田由美