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シークレット・ヴォイスのlpのレビュー・感想・評価

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
4.5
未体験ゾーンの映画たち2019にて鑑賞。『マジカル・ガール』のカルロス・ベルムト監督の新作。

2014年の『MUD』以来、久しぶりに「未体験ゾーンの映画たち」で大当たり案件が出た!

記憶喪失になったトップシンガーと、彼女に歌を思い出させる役回りを引き受けるファンの女性。2人の物語を軸とした、4人の女性たちの物語。
病気の娘のため、アニメグッズを購入せんと奔走する父親を軸に、異色のサスペンスがたっぷりの余白と共に展開される『マジカル・ガール』と比べて、今作は物語の余白は少なめに感じた。
中盤から後半にかけて、一気に加速する話運びは今作でも健在。そして、『マジカル・ガール』と同じく、今作もまた一筋縄では行かないサスペンスが展開される。
映画の余白が抑えられた分だけ、物語はより練り込まれた印象だ。2人の主人公の交流譚に、彼女達が各々抱える○○(ネタバレ防止のため伏字!)の問題が重なり合い、多重的な物語を織り成す構成が見事。伏線や印象的なショットの挿入など、細部での技も光る。非常に濃密で魅惑的な映画の世界を、たっぷりと堪能。

鑑賞後の「凄いものを観た!」という衝撃では『マジカル・ガール』の方が印象に残ったけれど、純粋な「面白さ」では個人的には今作を推したい。

今のところ都内では上映予定が「未体験ゾーンの映画たち2019」のみで、しかも年明け最初の一週間のみ公開予定という厳しいスケジュールですが、特に『マジカル・ガール』に魅了された人には観て欲しい1本です。オススメ!
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