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シークレット・ヴォイスのCHまちのネタバレレビュー・内容・結末

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

《作品概要》
かつて人気歌手だったリラ・カッサンが浜場で倒れているのを発見される。幸い命は助かったがリラは記憶喪失になり、以前のように歌うことができなくなってしまう。そんな中、リラの友人でマネージャーのブランカは、リラの曲を本人さながらに歌いこなすヴィオレッタと出会い、間近に迫ったリラの復帰コンサートのため、ヴィオレッタにリラの歌のレッスンを頼み込むのだが……。

《感想》
本作の歌唱シーンはとても魅力的で惹き込まれるものがありますが、それだけではなく、非常に奥深いストーリーであった。

リラ・カッサンに憧れるヴィオレッタは、カラオケバーでリラの真似をしてステージで歌っていた。でも、リラ本人は亡き母親・リリの曲を真似て歌っていたという、何と皮肉な話なのでしょうか。挙げ句の果てにリラは、ラストのコンサートで“ヴィオレッタ・カッサン”と今度はヴィオレッタの持ち歌を真似てしまう。これはさすがにヴィオレッタが可哀想すぎて心痛みました。しかも、ヴィオレッタは娘まで死なせてしまったのに…。

また、個人的に特に印象に残っているのは、ヴィオレッタが娘にリラの記憶喪失の秘密を打ち明けて、娘がそれを金儲けに利用しようとしたときの親子が対立する緊迫したシーン。あの時、かなりの時間ヴィオレッタを映すカメラが動かなかったですよね。あの時の無言のヴィオレッタの怒りの演技は圧巻でした。

心を抉るような描写もありながら、その世界観や映像・演出の魅力にどっぷり浸かり、片時も目が離せないほど魅入ってしまった傑作。
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