takanoひねもすのたり

ラビッドのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ラビッド(2019年製作の映画)
3.6
クローネンバーグ監督の1997年の同名作をソスカ姉妹監督がリメイクした作品。

ファッションデザインスタジオに所属しているローラ、今日も今日とて上司(湿気ったミックジャガーみたいな顔)にいびられる。
ある夜、バイク事故を起こし、彼女の顔は酷く抉れ、胸には傷跡が残ることになってしまった。
ネットでみつけた「トランスヒューマニズム」というクリニックに興味を惹かれ、友人のチェルシーを伴い訪れる。
バロウズ博士は「幹細胞操作」「移植」によりローラの顔が元通りになることを示唆し、彼女はそれに同意して手術を受けた…

クローネンバーグ監督の「戦慄の絆」からのオマージュと思われる赤い手術着のシーン。
手術後に処方されるプロテイン入りのボトルの赤、カプセルの赤、医療機器の赤、部屋の赤、赤を基調にした絵、赤いドレス、赤い肉、そして血。

肉体の変容を暗喩するのは、クリニックにかざられている絵画でも。
フランシスベーコンとか。

オリジナルではヒロインの脇にヴァ○ナ状の傷跡が出来てしまい、そこからペ○ス状の何かが出て人々を襲い、襲われたひとも感染してゆく…というボディホラー。

今作もそれに準じていますが、脇にできた傷跡はあまり画面に映らず、ウニョウニョする1本の触手。
(最後近くまで何処から触手が出てくるのか分からなかった 笑)

感染したひとの凶暴化は激しく、人を襲うシーンはアクロバティックに派手だけど、肉体損壊描写は意外に少なく(皮剥、頭ぐしゃくらい)替わりに血飛沫はよく飛ぶので血まみれの絵面は悪くない。

ローラのお腹がぐるぐる言い始め(not下痢)腹痛で七転八倒し痛みで意識を失うと、そのまま本能のままにマンハント……このギュルギュル音とゲップが人前だったら恥ずか死ぬ……という共感羞恥もちょっとだけ味わえる。

ゲーム「サイレントヒル」のバブルヘッドナースみたいなの出てきた。

結末はオリジナルと変えています。
続編を意識したオチなのかは分かりませんが、個人的にはオリジナルの結末が好きだったので、この改変は「うーん」という感じ。

でも総合的に観て、悪くないリメイクだと思いました、楽しめました。