幽斎

オッズの幽斎のレビュー・感想・評価

オッズ(2018年製作の映画)
3.6
シネ・リーブル梅田の未体験ゾーンの映画たち2019上映作品。既にレビュー済の作品は「ダーク・クライム」「シークレット・ヴォイス」「ANONアノン」「テリファイド」「エリザベス∞エクスペリメント」「108時間」「ビッチ・ホリデイ」(ヒューマントラスト渋谷)良く見てるなしかし(笑)。

密室ゲームと言えばスリラーの代表的な雛形で、私の生涯ベスト「SAW」以降はリサイクル状態。本作は2018年ニューヨーク・シティ映画祭最優秀ホラー作品賞受賞で女優賞ノミニー。ノースハリウッド・シネフェスタで男優賞受賞、監督賞ノミニーと北米では一定の評価を受けた作品。製作費約3000万円、低予算なのは明らかですが、光る部分が全く無い訳では有りません。

主演2人の演技が意外と良く、全く無名な俳優同士ですが其れなりの存在感も有り、107分と割と長目な上映時間を維持してくれる。絵的にもきちんと撮影されており、技術面での安さは感じない。無名のBob Giordano監督ですが、アメリカのサイトを調べて見るとハリウッドでは無くテネシー州ナッシュビル在住で、州の脚本協会長を務めた事も有るローカルな映画人です。機材が低予算化されネットが発達した今では、地方から作品を発表する事も可能で、低予算で出来るスリラーを地域のスタッフが熱意を持って制作してる感じが伝わります。

ゲームの内容は想定の域を出ませんが、途中で日本式が割と丁寧に説明されて苦笑い。最後の展開はグルジア映画「13/ザメッティ」を彷彿とさせるが、安易なゴア描写を避け、低予算でも見せ方の工夫でサスペンスを持続させる演出は評価出来る。逆にバイオレンス描写を期待した方は失望するだろう、その意味では本作はホラーでは無くスリラーに徹してる。

そのスリラー的には、主人公がゲームに参加する理由と意味、しょぼいネットワークカメラとは別に監視カメラが有る、本当の「オッズ」=賭けの対象とは何か?、そして「実は○○もプレーヤーだった」と言う真のオチも悪くない。

点数は低目ですが見た目の低予算に惑わされず、しっかり見れば意外と良く出来てる。監督の次回作が少し楽しみでも有ります。
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