うにたべたい

ライズ ダルライザー ーNEW EDITIONーのうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.6
白川だるまをモチーフにした福島県白河市のご当地ヒーロー・ダルライザー。
本作はダルライザー劇場版作品「ライズ ダルライザー THE MOVIE」のDC版 (だよね?) です。
ダルライザーは、ダルライザーの衣装を着ただけの一般の白河市民という設定で、何の特殊能力も無く、努力をして格闘センスを磨いたという変則的なヒーローです。
ダルライザーの誕生から、白河市の地下で企てられる怪しい組織、その計画を阻止し、平和な白河市を取り戻すために戦うダルライザーの物語となっています。

ご当地ヒーロー作品とはとても思えないレベルでできがよく、ドラマがしっかりしていると感じました。
白河市が舞台ということで、セリフに若干の方言がありましたが、役者の演技力もあり、カメラワークも演出もプロのそれと思います。
ストーリー展開のテンポも良く、かなり完成度の高い作品です。

ヒーローもの特撮映画ですが主人公はコスプレをした一般人なので、特殊な必殺技や光線などはないため派手なエフェクトなどは使われず、攻撃は地元道場で鍛えた肉弾戦です。
また、敵も組織ですが、宇宙や異世界からの侵略者という訳ではないため怪人・怪獣の類いは登場せず、作中特撮的な表現はほとんどないです。
ヒーローものですが現実に即しています。
だけど確かにダルライザーはヒーローだと思えるような作品でした。

ただ、残念な点として、アクションのキレがいまいちでした。
格闘シーンが多く、頑張っている感じはありましたが、いかにも殺陣をやりましたという演技感があり、そのせいでダルライザーがあまり強く見えないです。
まあ敵も一般人で、特にラスボスなんかは科学者なので、ガチバトルでは無くおっさん同士の喧嘩の域を出ないで正解なのかもしれないのですが、迫力はあまり感じられなかったです。

また、だるま以外の白河市のセールスポイントが分からなかったです。
逆にろくな雇用が無く店はすぐに潰れる、寂れた街なのかなという印象を持ってしまいました。
結構、市民の皆様はダルライザーに冷たいですしね。ストーリー上、白河市であることはあまり関係ないよう気がしました。
市民の力で何とかするみたいな展開があったら良かったのにと思います。

とはいえひとつの特撮ヒーロー作品として、十分に楽しめる内容でした。
自分の愛する家族が住む白河を守るため立ち上がった、あるローカルヒーローの物語。
名作です。