モカ

クーリエ:最高機密の運び屋のモカのレビュー・感想・評価

4.2
ベネディクト・カンバーバッチだという事で内容も知らず手に取ってしまったけど、キューバ危機の話じゃないか。個人的にキューバ危機には未だ強い興味があります。

1962年、ソ連がこっそりとキューバに核ミサイル基地を建設。それを発見したアメリカとの間で緊張感が核戦争寸前まで高まった経緯を描いたキューバ危機映画。

少し違うのは、一般にキューバ危機というと特定の13日間を指しますが、この作品ではおよそ2年前にさかのぼり、数年に渡る諜報活動とその後の苦難が描かれていました。

ソ連の機密情報を西側に流すオレグ・ペンコフスキーと、情報の運び屋として英国とモスクワを行き来する一般人グレヴィル・ウィン。
派手さはないものの、緊張感に満ちた取り交わしは観ていてハラハラもの。社会の表面に出てこない戦争回避の裏側を垣間見れます。

小難しい映画に思えますが、知的な情報戦に限らず家族愛や信念も強調されていて、非常に入り込みやすいです。
特にポイントとなっているのは主演2人の友情でしょうか。打算的で自国の保身が重視される冷徹な諜報活動の中で、献身的で人間らしい温情がひときわ輝きを放っています。

しかし、ソ連の高官だったペンコフスキーは、なぜあのような危険を犯してまで自国に背いたのか?
「より良い世界にしたかった」
立派な理由だけど、立派過ぎてしっくり来ない。それも含めて、彼を動かした動機は他にもあるのでしょう。
まだまだ謎多きキューバ危機には興味が尽きません。こういう好奇心を刺激してくれる作品は本当に大好きだ。
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