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クーリエ:最高機密の運び屋のSSDDのレビュー・感想・評価

4.0
■概要
ソ連とアメリカは冷戦の真っ只中、両者核脅威により緊迫した政治的状況下にあった。そんな中ソ連側の重要人物が機密情報を提供していたが、情報のやりとりをもっと迅速にする必要があった。
MI6はなんら政府との繋がりを持たない一般人を情報の運び屋として利用することを思い立つ…。

■感想(ネタバレなし)
史実を再現した作品となり、不安定な状況下で平和を実現したいと願う人々や諜報機関を描き出した重厚な作品。

映像のクオリティが高く当時の再現性の高さが素晴らしい。諜報機関の活動について細かく描かれているのと、手段を選ばないソ連側の体制が恐怖を感じる。

盗聴、読唇術、監視、家捜しなどあらゆる手法で"見られている"という緊迫感の中、何食わぬ顔で行動しなければいけないというストレスは凄まじいものだろう。

史実の裏に隠されたヒューマンドラマで観る価値の高い映画でした。











■感想(ネタバレあり)
・愛国心や家族愛という名の脅迫
あらゆる手段で協力者に仕立てる諜報機関は愛国心を煽ったり、家族が危機にさらされることを脅威のように言い心を揺さぶる。
あの時協力していればと後悔したくなくば協力しろと脅迫する様は結局は反社会的だったり、独裁国家のそれと変わるものでもない。結局は戦争というものは理不尽に参加したくない者まで巻き込んでいく。

・キューバ危機
キューバがソ連に加担するに至る史実の部分はあまり細かく描かれなかったが、カストロが革命を起こし新たなキューバ体制になるが、アメリカが独裁的と非難。
キューバが接収する法案を可決すると農産地の7割を占めたアメリカ企業を接収するにあたることから関係悪化したことが引き金。ソ連と手を組むキューバという図になったようだ。

・平和を願う人々
ソ連から亡命を願うアレックスが処刑されたのは残念だが、平和をもたらし家族も平穏に生きれたのは本望だっただろう。
グレヴィルは最後にインタビューを受けるシーンで過酷な境遇を受けたのに意思の強さを感じる力強い喋り方が印象的だった。
この男なら確かに友を救う作戦を買って出たのだろうな。
ベネディクト・カンバーバッチの痩せた姿は役者魂を感じる。

いつになっても紛争は無くならないが一刻も早くウクライナ問題にも平和が訪れてほしいものだ。
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