このレビューはネタバレを含みます
すんごい映画だ。
ちょっとびっくりした。
1960年代、米ソ冷戦時代の歴史、風俗、文化には興味があって、その時代を舞台にした映画や小説はそれなりに触れてきたつもりだったけど、こんなことがあったとは知らなかった。
いや、普通に考えればあるのはわかる。
冷戦時に敵対勢力にいながらも友情を育んだ東西ドイツの人々や南北朝鮮の人たちの実話をベースにした映画も結構あるもんね。
でも意表を突かれたのは何故だろう?ガチの枢軸国同士のこういう話にたまたま俺が触れてこなかったから?
前半はコメディタッチなのに、終盤に向かうに連れどんどんシリアスになっていく(わりと最近の韓国映画に多いスタイル)から??
物語前半は音楽や演出も相まってユーモアを交えつつ、なんなら割と滑稽でオフビートな感じで進む。
ソビエト使節団をロンドンに呼んでの会食シーンなんか音楽含めて多幸感あって最高じゃん。
中盤あたりからサスペンスが増すんだけど、それでもまだ「主人公が作戦に乗ってからの話がサクサク進む!手際がいい!」とか「何言ってるか聞こえないけど、映画史上最高のコソコソ話じゃない??」とか、
「この緊迫下でも白鳥の湖に釘付けになっちゃうカンババかわいい!それだけモスクワのバレエはすごいって表現なんだろうなー」とか、まあ呑気に観てられるわけですよ。
でも、三幕目からガラッと雰囲気が変わる。
本当に地獄の展開。
で、ここでカンババの役作りの凄さ、鬼気迫る感じが一気に出てくる。
終盤になる前までは中肉中背だったのが、一気にゲッソリ。
本当にとんでもない役作り。
それが表出する物語のラスト、やっと会えた2人。
そこで交わす言葉が本当に凄まじい。
一瞬、「なんでカンババ笑ってんの?」って思ったらそういことか!!
いやー、史実にしても脚本にしてもすごい!!
ここの会話にやられた。