米ソ緊張関係の最中、1962年に起こったキューバ危機の舞台裏をリアリティと緊張感あるテンポで描く実話。
ごく普通のイギリス人ビジネスマンがCIAとMI6からの極秘任務を経て、スパイ(運び屋)としてモスクワに幾度と渡るという、何ともフィクションのような本当の話。冷戦最中の当時、命とも言える情報戦を制するために手段を選べなかった状況が伺える。
ソ連側を裏切った高官だって、ただただ平和を願っただけなのに…と考えると居た堪れないが、しっかりと彼の描写へはリスペクトを感じた。二人に共通していた家族や世界を核戦争から守るという意志は、国境・立場を超えて二人を戦友にさせた。本当のKGBの捜査が迫る中、ウィンが家族を顧みず、友を助けるために死地へ向かったのは何よりの証。
なんと言っても後半、ベネディクト・カンバーバッチの減量を経た壮絶な演技が光る。1年間も拘束されていたにも関わらず、実際の映像でも飄々とインタビューを受けるウィンさんメンタル強すぎ…。
感情描写が薄いなどの意見があるが、あくまで史実映画なので淡々とした緊張感あるテンポで十分没入できるのでいいのよ。
